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[SY51]シンポジウム51_神経発達症の臨床と研究における精神科と小児科の共闘 ~連合小児発達学研究科と弘前大学の取り組み~

Thu. Jun 19, 2025 6:00 PM - 8:00 PM JST
Thu. Jun 19, 2025 9:00 AM - 11:00 AM UTC
P会場(神戸国際展示場 1号館 2階 展示室A)
司会:土屋 賢治(浜松医科大学子どものこころの発達研究センター)、廣澤 徹(金沢大学子どものこころの発達研究センター)
メインコーディネーター:菱谷 好洋(大阪大学大学院連合小児発達学研究科)
サブコーディネーター:橘 雅弥(大阪大学大学院連合小児発達学研究科)
日本の子どもの神経発達症の有病率は10%以上と推定される。以前は、神経発達症は主に子どもの問題とされてたが、近年では成人後に診断されるケースも増えており、統合失調症などの精神疾患との関連も指摘されている。そのため、精神科医にとっても、神経発達症の最新知識のupdateは必須になっている。
小児期においては、発達に関する懸念がある場合、乳幼児健診の診察や養育者からの最初の相談は、小児科医が対応する場合が多い。しかし、神経発達症の診断基準はDSM5-TRに示されており、小児科医には馴染が薄いこともあり、一般小児科医には敬遠される場合も多い。発達を専門とする小児科医のみならず、広く一般小児科医が神経発達症についての知識を持つ初期対応を行うことができる必要があり、小児科領域での大きな課題となっている。また、特に学童期以降、神経発達症に加えて精神的な問題や強い行動上の問題を生じてきた際に、小児科だけでは対応できない場合も多く、神経発達症診療において小児科医は精神科との密な連携を切望している。
一方で、精神科領域では、小児期の神経発達症に対して専門的診療ができる施設は決して多くない。児童思春期精神科を標榜する施設においても、就学前の子どもは診療対象外となっていることも多く、年少児は小児科が、年長児は精神神経科が対応するなどの役割分担や、小児科から精神科への適切なトランジションが必要となる。
このような臨床面での精神科と小児科の連携の必要性に加え、研究面においてもそれぞれの専門家が協働することは、神経発達症の病因・病態の解明、適切な治療介入方法の開発、そして神経発達症児者の生活における困難感を軽減することなどに、大きなメリットとなる。
本シンポジウムでは、大阪大学大学院 大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合小児発達学研究科の構成5大学と弘前大学の精神科医・小児科医・心理士からの講演を通して、精神科・小児科の協力連携および多職種連携の重要性、その課題と今後の展望について、ご参加いただいた皆さんと共有し考える機会としたい。
本シンポジウムでは、以下の講演とディスカッションを予定している
小児科で神経発達症を診るということ ~そのメリットと限界~ 大阪大学 橘雅弥
子どもと大人の神経発達症診療 ~何が同じで何が違うのか~ 弘前大学 坂本由唯
ADHDにおける脳MRI研究の最前線 -神経基盤の解明と客観的バイオマーカーの確立に向けて- 福井大学 水野賀史
神経発達症に対する認知行動療法   千葉大学 田口佳代子
神経機能画像・神経生理学的アプローチから神経発達症を考える 金沢大学 廣澤徹
バースコホート研究から神経発達症を読み解く 浜松医科大学 土屋賢治
本シンポジウムはJSPN2025のテーマ「精神神経科学の充実・発展のために取り組むべきこと」にも合致したものであり、神経発達症診療と研究における精神科と小児科及び多職種連携の更なる連携協力を推進し、神経発達症に関わる方々にとって有益なものとなることを確信している。

[SY51-1]小児科で神経発達症を診るということ ~そのメリットと限界~

橘 雅弥1,2 (1.大阪大学大学院連合小児発達学研究科, 2.大阪大学大学院医学系研究科小児科学)

[SY51-2]子どもと大人の神経発達症診療 ~何が同じで何が違うのか~

坂本 由唯 (弘前大学医学部附属病院神経科精神科)

[SY51-3]ADHDにおける脳MRI研究の最前線 -神経基盤の解明と客観的バイオマーカーの確立に向けて-

水野 賀史1,2,3 (1.福井大学子どものこころの発達研究センター, 2.大阪大学大学院連合小児発達学研究科福井校, 3.福井大学医学部附属病院子どものこころ診療部)

[SY51-4]神経発達症に対する認知行動療法

田口 佳代子 (千葉大学子どものこころの発達教育研究センター)

[SY51-5]神経機能画像・神経生理学的アプローチから神経発達症を考える

廣澤 徹 (金沢大学子どもの心の発達研究センター)

[指定発言]指定発言

土屋 賢治 (浜松医科大学子どものこころの発達研究センター)