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[SY54]シンポジウム54_非自発的入院の現状と課題

Thu. Jun 19, 2025 1:30 PM - 3:30 PM JST
Thu. Jun 19, 2025 4:30 AM - 6:30 AM UTC
Q会場(神戸国際展示場 1号館 2階 展示室B)
司会:太田 順一郎(岡山市こころの健康センター)、布施 泰子(茨城大学保健管理センター)
メインコーディネーター:太田 順一郎(岡山市こころの健康センター)
サブコーディネーター:田口 寿子(神奈川県立精神医療センター)
精神保健福祉法委員会
日本精神神経学会・精神保健福祉法委員会は、これまで数次の精神保健福祉法改正に当たって精神保健福祉法の問題点を指摘し、法の見直しを求めてきたが、その中でも医療保護入院制度の持つ問題点は繰り返し指摘してきている。令和4年9月28日に発出した学会見解においても「家族同意の廃止」と「非自発的入院における国と自治体の責任の明確化」を求め、「将来的には措置入院と医療保護入院を一本化した強制入院制度を検討すべき」と述べた。一方で、令和4年12月に採択された今次精神保健福祉法改正案の中に、医療保護入院に関連した改正項目は少なからず含まれていたが(①入院時告知の項目に「入院理由」を加え、家族にも告知、②虐待の加害者である家族は入院に同意する「家族等」になれない、③医療保護入院の期間の法定化、④入院者訪問支援事業の開始、⑤家族等が同意・不同意の意思表示を行わない場合の取り扱い、など)、これまで本委員会が指摘してきた問題点への対応は極めて不十分なものと言わざるを得ない改正内容であった。
また令和4年9月9日、国連・障害者権利委員会はわが国に対して障害者権利条約に基づいて初回勧告を出したが、その中でも医療保護入院という制度は厳しく批判されている。国内においても日弁連は令和3年10月の第63回人権擁護大会において医療保護入院を含む精神科における強制入院制度廃止に向けた作業行程を示している。
このような現状を踏まえて、当委員会は令和6年(度)の札幌総会において医療保護入院をテーマとしたシンポジウムを開催した。シンポジウムでは非常に熱心で活発な議論が交わされ、このテーマに対する会員の関心の高さが伺われた。このため、本委員会は令和7年度の神戸総会においても引き続き非自発的入院をテーマとしたシンポジウムを企画することとした。シンポジウムの内容としては、吉岡が認知症患者を精神保健福祉法の枠組みで診ることへの問題提起を行い、小林が海外での非自発的入院あるいは精神科入院の実態を報告する。森川が障害者権利条約から見たわが国の非自発的入院について述べるとともにこれまでの学会見解の総括を行い、また柑本が法学者の立場から見た現在のわが国の非自発的入院制度の問題点を検討する。以上の発表に触発されて今年以上の熱心な議論が交わされることを期待している。

[SY54-1]海外での非自発的入院あるいは精神科入院の実態

小林 慧1,2 (1.東京大学医学部附属病院, 2.国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター)

[SY54-3]非自発的入院制度と権利擁護策の今後のあり方について

柑本 美和 (東海大学法学部)

[SY54-4]障害者の権利に関する条約(CRPD)から見た日本の非自発的入院―これまでの学会見解をふまえて

森川 将行1,2 (1.三重県立こころの医療センター, 2.公立大学法人奈良県立医科大学精神医学講座)