Session Details
[SY72]シンポジウム72_医療観察法による医療の有用性と限界 ― 4つの事例から
Fri. Jun 20, 2025 8:30 AM - 10:30 AM JST
Fri. Jun 20, 2025 11:30 PM - 1:30 AM UTC
Fri. Jun 20, 2025 11:30 PM - 1:30 AM UTC
F会場(神戸国際会議場 4階 403会議室)
司会:澤田 健(高知県・高知市病院企業団高知医療センターこころのサポートセンター)、田口 寿子(東京武蔵野病院)
メインコーディネーター:田口 寿子(東京武蔵野病院)
メインコーディネーター:田口 寿子(東京武蔵野病院)
司法精神医学研修委員会
2005年の心神喪失者等医療観察法(以下、医療観察法)の施行からまもなく20年を迎える。2023年4月1日時点で全国35の指定入院医療機関に856床の病床が整備され、精神障害によって殺人、放火、傷害となどの重大な他害行為を行い本法の対象となった者は入院処遇だけでもすでに4000人を超えている。700以上の精神科医療機関が指定通院を受け入れており、通院処遇において医療観察法対象者の治療に従事したり、精神保健判定医として審判に関わったりする精神科医も増えている。しかしながら、医療観察法による医療の内容についてはまだ広く知られているとは言えず、そのために、残念ながらこの制度への誤解、さらには対象者に対する偏見が十分払拭されていない現状がある。
司法精神医学研修委員会では、医療観察法医療についての理解を深めるために、2022年の第118回学術総会で「医療観察法医療における治療技法-一般臨床への般化・還元をめざして」と題し、制度の現状と課題やこの医療が進めてきた治療技法(クロザピン・包括的暴力防止プログラム・クライシスプラン)に関する総論的なシンポジウムを実施した。今回は、指定医療機関で治療に携わっている4人のシンポジストが事例を提示し、それらを通して医療観察法医療の特徴、有用性と限界について議論するシンポジウムを企画したい。
高信は、覚せい剤乱用歴のある統合失調症で、入院処遇中に開始されたクロザピンが著効するとともに、反社会組織との関係性を見直し新たな支援体制のもとで地域生活に移行した事例を、崎川は、精神療法と環境調整を中心に治療方針を組み立てたことによって、病識の獲得には至らなかったものの、施設に退院し穏やかな地域生活を送っている妄想症の事例を提示する。柏木は、治療に積極的な協力が得られない家族に対する多面的なアプローチにより退院を促進した事例を通して、医療観察法における家族支援の特殊性や課題について論じる。高尾は、知的発達症を併存した統合失調症で、不穏により身体的拘束を頻回に要し、修正型電気けいれん療法は無効、クロザピンは有害事象で繰り返し中断となって指定入院が長期化しただけでなく、通院処遇後も受け入れ先がなく精神保健福祉法による入院を余儀なくされた困難事例を提示する。最後に指定討論では、これらの事例が示す医療観察法医療の意義や限界、課題などに関して、取りまとめのコメントを行う予定である。なお事例提示にあたっては、各対象者より本学会推奨の症例報告用説明同意文書で同意を取得しているが、対象者のプライバシーと尊厳を損なわないよう最大限配慮して発表し、シンポジウム後半の質疑においても同様の対応をしたいと考えている。
司法精神医学研修委員会では、医療観察法医療についての理解を深めるために、2022年の第118回学術総会で「医療観察法医療における治療技法-一般臨床への般化・還元をめざして」と題し、制度の現状と課題やこの医療が進めてきた治療技法(クロザピン・包括的暴力防止プログラム・クライシスプラン)に関する総論的なシンポジウムを実施した。今回は、指定医療機関で治療に携わっている4人のシンポジストが事例を提示し、それらを通して医療観察法医療の特徴、有用性と限界について議論するシンポジウムを企画したい。
高信は、覚せい剤乱用歴のある統合失調症で、入院処遇中に開始されたクロザピンが著効するとともに、反社会組織との関係性を見直し新たな支援体制のもとで地域生活に移行した事例を、崎川は、精神療法と環境調整を中心に治療方針を組み立てたことによって、病識の獲得には至らなかったものの、施設に退院し穏やかな地域生活を送っている妄想症の事例を提示する。柏木は、治療に積極的な協力が得られない家族に対する多面的なアプローチにより退院を促進した事例を通して、医療観察法における家族支援の特殊性や課題について論じる。高尾は、知的発達症を併存した統合失調症で、不穏により身体的拘束を頻回に要し、修正型電気けいれん療法は無効、クロザピンは有害事象で繰り返し中断となって指定入院が長期化しただけでなく、通院処遇後も受け入れ先がなく精神保健福祉法による入院を余儀なくされた困難事例を提示する。最後に指定討論では、これらの事例が示す医療観察法医療の意義や限界、課題などに関して、取りまとめのコメントを行う予定である。なお事例提示にあたっては、各対象者より本学会推奨の症例報告用説明同意文書で同意を取得しているが、対象者のプライバシーと尊厳を損なわないよう最大限配慮して発表し、シンポジウム後半の質疑においても同様の対応をしたいと考えている。
[SY72-1]医療観察法適用下での複合的アプローチにより状態安定に至った統合失調症事例
○高信 径介 (北海道大学病院附属司法精神医療センター)
[SY72-2]医療観察法処遇終了となった敏感関係妄想の老年女性
○崎川 典子 (一般財団法人精神医学研究所附属東京武蔵野病院)
[SY72-3]医療観察法において家族支援の重要性と限界が浮き彫りになった事例
○柏木 宏子 (国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター)
[SY72-4]医療観察法入院処遇中に頻回な行動制限を要した対象者から学んだこと
○高尾 碧 (島根県立こころの医療センター)
[指定発言]指定発言
○田口 寿子 (東京武蔵野病院)