Session Details
[SY78]シンポジウム78_性別取り扱いの特例法に対する違憲判決を受けて「性別」について考える
Fri. Jun 20, 2025 1:30 PM - 3:30 PM JST
Fri. Jun 20, 2025 4:30 AM - 6:30 AM UTC
Fri. Jun 20, 2025 4:30 AM - 6:30 AM UTC
H会場(神戸国際会議場 5階 502会議室)
司会:康 純(関西大学保健管理センター)、松本 洋輔(岡山大学病院)
メインコーディネーター:康 純(関西大学保健管理センター)
メインコーディネーター:康 純(関西大学保健管理センター)
性別不合に関する委員会
2004年7月16日から施行されている「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(以下、特例法と記載する)」によって2023年12月末までの累計で12,800人の人たちの性別変更が認められている。特例法は前提条件として性同一性障害と診断されていることが必要であり、さらに5つの要件を設けている。①18歳以上であること。②現に婚姻をしていないこと。③現に未成年の子がいないこと。④生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。⑤その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。である。
それぞれに対して批判はあったが、特に手術要件については2014年に世界保健機関(WHO)などが手術の強制は人権侵害として要件の廃絶を求める共同声明を出していた。このような状況の中で2023年10月25日に最高裁判所は、「憲法が保障する意志に反して身体を傷つけられない自由を制約しており、手術を受けるか、戸籍上の性別変更を断念するかという過酷な二者択一を迫っている」として憲法に違反していると判断した。
特例法はその要件が憲法に違反している法律ということになり、2024年10月の時点において法律の見直しが進められており、本シンポジウムが行われるときには改正されている可能性もある。そもそも戸籍上の性別はほとんどの場合は出生したときの外性器の形状によって判断されており、当然そこに本人の意思は全く反映されない。しかし、出生時に決められた性別として人生を過ごしていかなければならないのが現状である。その指定された性別に違和感を持つ人が存在していることが広く知られるようになった現在、人の性別というものを様々な面から考え直してみることは大切だと考えてこのシンポジウムを企画した。
シンポジウムの構成としては、明治大学などで講師を務めている三橋順子先生に日本における性別概念を歴史の中から概観していただき、慶應義塾大学医学部小児科の石井智弘先生に性分化疾患の治療に携わっている立場から生物学的性別について、NPO法人関西GICネットワークで数多くの性別違和を持つ人たちに対するガイドライン上の適応を議論していただいている、みやこ法律事務所の東田展明先生に憲法を含む法概念における性別について、大阪公立大学現代システム科学研究科の東優子先生に世界での性別の人権面での取り扱いについてご講演いただく予定である。
それぞれに対して批判はあったが、特に手術要件については2014年に世界保健機関(WHO)などが手術の強制は人権侵害として要件の廃絶を求める共同声明を出していた。このような状況の中で2023年10月25日に最高裁判所は、「憲法が保障する意志に反して身体を傷つけられない自由を制約しており、手術を受けるか、戸籍上の性別変更を断念するかという過酷な二者択一を迫っている」として憲法に違反していると判断した。
特例法はその要件が憲法に違反している法律ということになり、2024年10月の時点において法律の見直しが進められており、本シンポジウムが行われるときには改正されている可能性もある。そもそも戸籍上の性別はほとんどの場合は出生したときの外性器の形状によって判断されており、当然そこに本人の意思は全く反映されない。しかし、出生時に決められた性別として人生を過ごしていかなければならないのが現状である。その指定された性別に違和感を持つ人が存在していることが広く知られるようになった現在、人の性別というものを様々な面から考え直してみることは大切だと考えてこのシンポジウムを企画した。
シンポジウムの構成としては、明治大学などで講師を務めている三橋順子先生に日本における性別概念を歴史の中から概観していただき、慶應義塾大学医学部小児科の石井智弘先生に性分化疾患の治療に携わっている立場から生物学的性別について、NPO法人関西GICネットワークで数多くの性別違和を持つ人たちに対するガイドライン上の適応を議論していただいている、みやこ法律事務所の東田展明先生に憲法を含む法概念における性別について、大阪公立大学現代システム科学研究科の東優子先生に世界での性別の人権面での取り扱いについてご講演いただく予定である。
[SY78-1]「性別」とは何か ―ジェンダー論の立場から―
○三橋 順子 (明治大学文学部)
[SY78-2]性分化疾患(DSD)における「性別」
○石井 智弘 (慶應義塾大学医学部小児科)
[SY78-3]我が国の法における性別の概念とその進化について、令和5年の違憲判決から考える
○東田 展明 (みやこ法律事務所)
[SY78-4]性と人権:多様なジェンダーと性別をめぐる国内外の動向
○東 優子 (大阪公立大学)