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[SY124]シンポジウム124_精神医学の充実・発展のためのポジティブ精神医学の役割 最近のポジティブ精神医学の動向

Sat. Jun 21, 2025 8:30 AM - 10:30 AM JST
Sat. Jun 21, 2025 11:30 PM - 1:30 AM UTC
M会場(神戸ポートピアホテル 本館 B1階 偕楽3)
司会:須賀 英道(龍谷大学)、佐久間 啓(社会医療法人あさかホスピタル)
メインコーディネーター:須賀 英道(龍谷大学)
サブコーディネーター:佐久間 啓(社会医療法人あさかホスピタル)、大野 裕(大野研究所)
本学会のテーマ「精神神経科学の充実・発展のために取り組むべきこと」は実践指向性の重視された今後の精神医学の重要な視点である。この中で最近着眼されている一つがポジティブ精神医学である。世界的にポジティブ精神医学が動き始めた中で、我が国ではポジティブサイコロジー医学会が立ち上がってから13年になる。ここでは医学分野に限定せず社会学や経済学などとコラボレーションも視点におき、グローバルな将来発展を模索し、これまで多くの効果が報告されてきた。この精神神経学会においても、毎年シンポジウムを企画しこれまでの多くの実証研究や今後の可能性について紹介してきている。
元来の精神医学ではネガティブ要因の原因解明と解決といった1つの方向性に偏りつつあるが、ネガティブ要因の寛容、受容性やポジティブ指向性といった視点に目を向ける多様性が今後の社会には必要とされる。そして、環境リソースの積極活用、自らの持つ強みの気づきと成長などポジティブ手法によって元来のレジリアンスを強化することも期待される。ポジティブ精神医学ではポジティブ特性の強化によってウェルビーイングの増大、リカバリー、成功的加齢、ポストトラウマチック成長などが目標とされ、その有効性も実証されてきている。この方向性はレジリエンス強化など、予防を主眼とした精神医学の発展にもつながる。ポジティブ精神医学は、セリグマンの提唱した5つのポジティブ特性、すなわち、ポジティブ感情、積極関与(フロー)、関係性(relationship)、生きる意味付け、目標達成感を主としたモデル(PERMA)をベースとし、既に多くの実証研究結果が報告されている。そして、有効な手法については具体的に臨床、産業界、教育、地域活性化など様々な分野で用いられている。
今回のシンポジウムでは、臨床心理学分野での既に広がりつつあるポジティブ心理学視点、認知行動療法でのポジティブ手法、ポジティブ精神医学の世界の動向、精神医学で活用されている手法と今後の発展性について、各分野からの最新情報を踏まえて紹介するとともに、ポジティブ精神医学の必要性を議論していきたい。

[SY124-1]健康な高齢化に対するポジティブ老年心理学的貢献

岩原 昭彦 (京都女子大学心理共生学部)

[SY124-3]ポジティブ精神医学の世界の動向

松隈 信一郎 (フィリピン大学ディリマン校心理学部)

[SY124-4]精神医学におけるポジティブ精神医学の貢献とその可能性

片山 奈理子 (慶應義塾大学精神・神経科学教室)

[指定発言]指定発言

大野 裕 (大野研究所)