Session Details

[WS16]ワークショップ16_モーズレイ式神経性やせ症治療(MANTRA)ワークショップ

Sat. Jun 21, 2025 10:45 AM - 12:25 PM JST
Sat. Jun 21, 2025 1:45 AM - 3:25 AM UTC
N会場(神戸ポートピアホテル 本館 B1階 和楽)
司会:中里 道子(国際医療福祉大学医学部精神医学)、友竹 正人(徳島大学大学院医歯薬学研究部メンタルへルス支援学分野)
メインコーディネーター:水原 祐起(みずはらクリニック/認定NPO法人SEEDきょうと)
Maudsley Model of Anorexia Treatment for Adults(MANTRA)は、英国のNICEガイドライン(2017年)において、Enhanced cognitive behavior therapy(強化型認知行動療法)、Specialist supportive clinical management(支持的臨床管理)とともに、成人の神経性やせ症に対する第一選択の治療として推奨されている。成人の神経性やせ症に特化された治療法であり、ワークブック(日本語版は「モーズレイモデル神経性やせ症治療MANTRAワークブック」、南山堂、2021年)を用いて行われる。
MANTRAはTreasure、Schmidtらが提唱した認知対人関係モデルに基づいており、そのモデルでは、「脅威に対する敏感さ、不安の高い性格特徴などの感情と社会的認知の特性」、「完全主義的で、柔軟性が乏しく、細部にこだわる思考スタイル」、「神経性やせ症に対する価値観や信念」、「神経性やせ症に対する家族や他者の反応」という4つの要因が神経性やせ症の発症およびその維持に関与しており、これらの4つの要因が相互に影響し合って悪循環を形成し、患者が神経性やせ症から抜け出せなくなっていると考えている。 治療は患者と治療者の協働作業として、上述のワークブックを比較的柔軟に用いながら行われる。基本は週1回の面接を20週に渡って行うが、Body Mass Index が15を下回る場合は、30回以上の面接を行うこととなっている。治療の初期段階では、患者の動機づけを高め、MANTRAの認知対人関係モデルの説明を行い、神経性やせ症の医学的リスク、栄養に関する心理教育を行う。治療の中盤では、上述の4つの要因に焦点を当てたフォーミュレーションを行い、治療目標の設定と変化に向けた計画を立てる。そして、患者と協働で作り上げたフォーミュレーションに基づき、症状維持に関係した問題領域に対して、様々なワークや行動実験を用いながら取り組んでいく。治療の終盤では、患者が神経性やせ症をベースにした価値観から脱却して、新たな価値観、アイデンティティを確立することを手助けし、再発防止についても取り組む。
本ワークショップではMANTRAの普及のために、その基礎的な知識について講師による解説を行い、特に治療初期に重要になる疾患の外在化や動機づけの技法、アセスメントレターなどの具体的な取り組み方についても紹介する。このワークショップを経てMANTRAの概要を理解し、それを完全な形で提供できなくとも、まずそのエッセンスを一般の精神科臨床の中で摂食障害診療を行った際に活用できるようになることを目指す。
参考文献:モーズレイ神経性やせ症治療MANTRAワークブック. Ulrike Schmidt, Helen Startup, Janet Treasure. 南山堂, 2021モーズレイ式神経性やせ症治療MANTRA治療の手引き MANTRA研究ワーキンググループ

[講演者]モーズレイ式神経性やせ症治療(MANTRA)ワークショップ

友竹 正人 (徳島大学大学院医歯薬学研究部メンタルへルス支援学分野)

[講演者]モーズレイ式神経性やせ症治療(MANTRA)ワークショップ

中里 道子 (国際医療福祉大学医学部精神医学)

[講演者]モーズレイ式神経性やせ症治療(MANTRA)ワークショップ

水原 祐起1,2 (1.みずはらクリニック, 2.認定NPO法人SEEDきょうと)

[講演者]モーズレイ式神経性やせ症治療(MANTRA)ワークショップ

沼田 法子 (千葉大学大学院医学研究院認知行動生理学)