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[WS17]ワークショップ17_精神科医のためのアミロイド抗体薬投与の実際

Sat. Jun 21, 2025 1:20 PM - 3:00 PM JST
Sat. Jun 21, 2025 4:20 AM - 6:00 AM UTC
N会場(神戸ポートピアホテル 本館 B1階 和楽)
司会:品川 俊一郎(東京慈恵会医科大学精神医学講座)、色本 涼(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室)
メインコーディネーター:品川 俊一郎(東京慈恵会医科大学精神医学講座)
サブコーディネーター:池田 学(大阪大学大学院医学系研究科精神医学教室)
認知症委員会
アルツハイマー病の病態機序に作用して進行を遅らせる薬剤として、2023年9月に本邦では初となるレカネマブが承認され、同年12月に保険収載され、実際に投与が開始された。また2024年9月には二番目の薬剤としてドナネマブが承認され、12月に保険収載予定である(抄録作成は10月時点)。これらのアミロイド抗体薬は既存の認知症治療薬とは全く作用機序の異なり、一部の分子標的薬と同様に「最適使用推進ガイドライン」が定められている。薬剤の投与対象の選定や投与後の追跡、ARIAと呼ばれる副作用への対応など、でこれまでとは違う診療体制が必要となる。レカネマブの例で言えば、医療機関側としては、投与前にAβ蓄積があることを確認するバイオマーカー検査(アミロイドPETまたは脳脊髄液バイオマーカー)が必要、2週間に1度の投与を行えるブースの確保が必要、副作用に対応できる体制(救急医療およびMRI撮像)が必要という点で、これまでの認知症診療とは大きく異なる。患者側としても、きちんと治療の意義と限界を理解したうえで、副作用のほか、2週間に1回の通院治療であること、費用が高額になることなどを納得して治療に臨む必要がある。これまで地域での認知症診療を支えてきた精神科クリニックや地域型の認知症疾患医療センターを担ってきた精神科病院にとっては、この「バイオマーカー検査が必要」や「副作用への対策が可能」という点はかなりハードルが高い。施設としてアミロイドPETを行える施設は限られており、また脳脊髄液を採取するために実際に腰椎穿刺を行える精神科医も限られている。MRIの頻回の撮像も精神科クリニックや精神科病院では困難なことが多い。そのため、実際には脳神経内科や脳外科の施設で投与が多くなされている実情も耳にする。しかし、患者や家族の心理的サポートや認知機能の評価といった場面では精神科医の力が必要であり、精神科医がアミロイド抗体薬の治療の進歩から置き去りにされてしまうのは、患者や家族、社会のためにならないと考える。そこで本ワークショップでは、日本精神神経学会会員の精神科医に向け、1. 適正使用ガイドラインに基づく適正な対象の選び方、2. 薬剤の説明と同意取得、3. MRIの読影とARIAへの対応、4.実際の投与フローの紹介という4つのパートに分けてレクチャーを行う。実際にアミロイド抗体薬治療を行なっている認知症専門医でもある精神科医が、オープンな形式わかりやすく投与開始に向けた対応についてレクチャーをすることで、アミロイド抗体薬への理解を深めたい。

[講演者]精神科医のためのアミロイド抗体薬投与の実際

品川 俊一郎 (東京慈恵会医科大学精神医学講座)

[講演者]精神科医のためのアミロイド抗体薬投与の実際

橋本 衛 (近畿大学医学部精神神経科学教室)

[講演者]精神科医のためのアミロイド抗体薬投与の実際

數井 裕光 (高知大学医学部神経精神科学講座)

[講演者]精神科医のためのアミロイド抗体薬投与の実際

末廣 聖 (大阪大学大学院医学系研究科精神医学教室)

[講演者]精神科医のためのアミロイド抗体薬投与の実際

池田 学 (大阪大学大学院医学系研究科精神医学教室)