MMIJ Annual Meeting

水分は岩石の力学的特性に顕著な影響を及ぼし、特に岩石強度への影響に関する研究は長年行われてきている。より詳細に含水状態を区別した近年の研究では、水分量に対する圧縮強度や引張強度の低下の様相が岩石の種類によって異なることが明らかになった。そこで本研究では、斜面の安定性などを考える上で最も実用的なせん断強度について、複数の岩種における水飽和度依存性の検討を行った。せん断強度を求めるための試験法として、プロトジャコノフ式（回転ダイス式）せん断試験を採用した。この試験では、通常二方向からの載荷が必要なせん断試験を、回転ダイスを用いることで一方向の載荷のみで実施可能にしている。この試験法を採用することにより、より多くの試験回数をこなすことができ、複数種の岩石に対して十分な量のデータを確保することができる。著者らは、来待砂岩と田下凝灰岩を用いて、水飽和度やせん断角度の条件を変化させながらせん断試験を行なった。これに三城目安山岩に関する既存の試験結果を加えた３岩種の結果から、せん断強度やせん断曲線（垂直応力とせん断強度の関係）、岩石の破壊条件に対して水飽和度が及ぼす影響について検討した。