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[P19-1]家族性片麻痺性片頭痛におけるSCN1A遺伝子のバリアント評価
○多田 陽香1, 團野 大介4, 西郷 和真1,2,3, Johanna Wolff5, 小田 いつき2, 川下 理日人1, 平野 牧人3, 寒川 真3, 竹島 多賀夫4, 三井 良之3, 永井 義隆3, 北村 重和6, 楠 進3 (1.近畿大学大学院 総合理工学研究科 理学専攻, 2.近畿大学病院 遺伝子診療部, 3.近畿大学病院 脳神経内科, 4.富永病院 脳神経内科 頭痛センター, 5.兵庫医科大学病院 脳神経内科, 6.甲南加古川病院 脳神経内科)
【目的】片頭痛には前兆を伴う片頭痛と伴わない片頭痛の2種類がある。国際頭痛分類第3版では視覚症状、感覚症状、言語症状の3つが典型的前兆とされている。中でも家族性片麻痺性片頭痛(FHM)は、症状からの鑑別診断が難しく、遺伝学的検査が重要となる場合がある。今回我々は、FHM3型(FHM3)の原因遺伝子であるSCN1Aのバリアント評価を行うことを目的とした。【方法】臨床的にFHMが疑われる患者46症例の末梢血を用い、DNAシークエンス解析を行った。検出されたミスセンスバリアントに対して、5つのツールを用いたin Silico解析、東北メディカル・メガバンク(jMorp)やアメリカ国立生物工学情報センター(NCBI)を用いたアレル頻度、タンパクの二次元構造解析及び立体構造モデリング解析よりバリアント評価を検討した。【結果・考察】46症例に対してシークエンス解析を行った所、新規バリアントを含む6つのバリアントを認めた。in Silico解析にて4バリアントは半数以上のツールでPathogenicとなった。一方、全症例に認められた1バリアントは全てのツールでBenignとなった。またアレル頻度については最も頻度の低いバリアントは0.0006であったが、in Silico解析にてBenignと判定したバリアントは0.8以上と高頻度であった。次にタンパクの二次元構造解析では、細胞内にあるものが3バリアント、膜貫通領域にあるものが2バリアント、細胞外にあるものが2バリアントであった。またFHM3の原因となるバリアントとして既に報告されているSCN1A c.3199G>A(p.Ala1067Thr)のバリアントは、本研究で行ったin Silico解析やアレル頻度より検討すると、病的バリアントではない可能性が高いと考えられた。さらにタンパクの立体構造モデリング解析にて、Naチャネルに関わるサブユニット近辺に位置しているバリアントは、Naチャネルに影響を及ぼしている可能性が考えられた。今後はさらにタンパクの立体構造解析にてバリアント評価の検討を行う。