Presentation Information
[P30-7]リスク低減乳房切除術を受けた卵巣癌患者の気持ちの変容
○小松 茅乃, 吉本 有希子, 高原 祥子 (公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院 ブレストセンター 乳腺外科)
【背景】当院では2013年からHBOC診療を開始し、翌年からリスク低減手術を実施してきた。卵巣癌治療中にBRAC1遺伝子に病的バリアントを認めたことをきっかけにリスク低減乳房切除術(RRM)を希望された患者のRRMへの思いを外来受診の際にヒアリングし、そこから認定遺伝カウンセラー(CGC)としての役割について検討を行った。
【症例】他院にて42歳で右卵巣癌、stage-IIIBと診断。2019年4月に子宮全摘+両側附属器切除+虫垂切除術とTC療法を6コース施行した。その間PARP阻害薬のコンパニオン診断としてBRCA1/2遺伝子検査を実施し、BRAC1遺伝子に病的バリアントを認めた。Olaparibによる治療開始前に、遺伝カウンセリング(GC)目的で当院に紹介受診された。その後卵巣癌の病状が落ち着いた時点でRRMを希望された。
【結果】患者のRRMを受ける直前における気持ちの大部分にはやっとRRMを受けられるといった安堵であった。一方で術後の見た目の変容、傷跡、痛みの程度、RRMを行なっても乳癌発症リスクが0にはならないといった点について不安が見られた。術後の病理診断で癌細胞は発見されなかったことを安心しつつも、今後の経過については明確な基準がないことからも「あとは運に任せる」といった発言があった。傷跡の受け入れについては徐々に慣れていくことに期待を寄せていた。
【考察】卵巣癌既発症のHBOC患者は、卵巣癌治療が優先される一方で高い乳癌発症リスクへの不安を感じているが、RRM実施以降も乳癌への不安が解消されることはなかった。RRM実施後の健康管理について明確な決まりがないことからも不安は解消されず、CGCはそういった不安への共感的理解、傾聴といった姿勢が求められる。RRMの実施に伴い、患者にとっての遺伝医療はひと段落ついた形となる。今後の医療の発展によってはHBOC診療の更なる進歩も考えられることからも必要に応じたGCや情報提供が重要と考えられる。
【症例】他院にて42歳で右卵巣癌、stage-IIIBと診断。2019年4月に子宮全摘+両側附属器切除+虫垂切除術とTC療法を6コース施行した。その間PARP阻害薬のコンパニオン診断としてBRCA1/2遺伝子検査を実施し、BRAC1遺伝子に病的バリアントを認めた。Olaparibによる治療開始前に、遺伝カウンセリング(GC)目的で当院に紹介受診された。その後卵巣癌の病状が落ち着いた時点でRRMを希望された。
【結果】患者のRRMを受ける直前における気持ちの大部分にはやっとRRMを受けられるといった安堵であった。一方で術後の見た目の変容、傷跡、痛みの程度、RRMを行なっても乳癌発症リスクが0にはならないといった点について不安が見られた。術後の病理診断で癌細胞は発見されなかったことを安心しつつも、今後の経過については明確な基準がないことからも「あとは運に任せる」といった発言があった。傷跡の受け入れについては徐々に慣れていくことに期待を寄せていた。
【考察】卵巣癌既発症のHBOC患者は、卵巣癌治療が優先される一方で高い乳癌発症リスクへの不安を感じているが、RRM実施以降も乳癌への不安が解消されることはなかった。RRM実施後の健康管理について明確な決まりがないことからも不安は解消されず、CGCはそういった不安への共感的理解、傾聴といった姿勢が求められる。RRMの実施に伴い、患者にとっての遺伝医療はひと段落ついた形となる。今後の医療の発展によってはHBOC診療の更なる進歩も考えられることからも必要に応じたGCや情報提供が重要と考えられる。