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[S18P-04]Development of models for observing the topography of ocean floorand land mede with 3D printers
*Ryoya Sato1, Satoko Oki1 (1. Bachelor of Arts in Environment and Information Studies,Keio Univ.)
はじめにわが国のような変動帯においては,陸上地形を観察することで地形の構造や成り立ち等の洞察を得ることができる.身の回りの地形から地球のダイナミクスを感じることができるという視点は,教育的観点からも価値が高い.災害の多いわが国において,知的好奇心として変動帯を感じることができれば,災害への備えの捉え方も変わってこよう.児童生徒への教材として地形の概念を導入する手段のひとつとして筆者らは,家庭用の簡易な3Dプリンターを活用した地形模型教材の開発に取り組んだ.特に海底地形は,陸上地形と異なり実際に現場で視認することが困難である.本発表では,海域と陸域を統合した3D実体モデルの開発について報告する. 海域と陸域の統合データおよび製作プロセス地形模型の試作として,a. 神奈川県南部および相模湾,b. 能登半島と周辺海域,c. 姶良カルデラ(桜島および錦江湾周辺)の3つを製作した.陸域データとしてはいずれも「基盤地図情報(数値標高モデル)10mメッシュ(標高)」を使用した.海域データについては,a. の試作の段階では「日本水路協会のm7000シリーズの350mメッシュデータ」を基に製作したが,b. および c. の試作段階においては,今後の汎用性を考えて他地域でも作成できるよう「J-DOSS(海上保安庁海洋情報部情報利用推進課 / 日本海洋データセンター(JODC))の500mメッシュ水深データ」を使用した.製作のプロセスは,陸域と海域の3次元メッシュデータを統合してQGISに取り込み,QGUSプラグイン「DEM to 3D」で3Dモデルのデータを作成,その後,スライサーソフトに導入した.家庭用3Dプリンターは積層方式のため,プリンターの設定次第で地形が変化してしまうことがある.そのため,後述するように,積層の厚みや縮尺の調節が必須となる.以下に3つの試作地形模型について述べる. 神奈川県南部および相模湾の地形模型この地形模型は,第22回地震火山地質こどもサマースクールの実験教材として製作した.同イベントにおける対象地域が大正関東地震の震源域であったため,神奈川県南部の陸域と相模湾を含む海底地形が必要となった.この段階では「日本水路協会のm7000シリーズの350mメッシュデータ」を基に作成し,また,試行錯誤の中で,Z軸方向を5倍に強調するのが観察に適していることが分かった.佐藤・他(2024)で報告の通り,イベントに参加している子供たちの理解を補う効果は十分にあることが示されただけでなく,海水面の高さまで水を張って観察し,海域と陸域との接続性を考えるなど,実験にも使える思考ツールとしての可能性が示唆された. 能登半島と周辺海域令和6年能登半島地震の震源域に相当する.この地震は,発震機構や津波の生成・伝搬が,海域の地形と陸域の地形に深く関わっている.特に津波の伝播については,津波の到達時刻や波高などが海底地形に関わることを踏まえれば,地形模型によってこれらを簡便に説明しうる有効な教材となるだろう.能登エリアの陸域と海域のデータセットを合成したところ,能登半島北岸エリアのデータが欠落していたことがわかった.筆者らはこのデータの補完を,GISで補完した.つまり,海岸線に沿ったデータ欠落域については,デジタルファブリケーションの手法で解決した. 姶良カルデラを含む海域モデル b. のような地震に関わるエリアの地形に加えて,海域にある火山地形として製作を行った.姶良カルデラは,その大半が錦江湾の海底にあり,当然ながらその全貌を目視することはできない.これを可視化する地形模型では,姶良カルデラ内に形成された御岳が生んだ島こそが桜島であることをたちどころに理解できる.地形模型は,桜島の成り立ちを理解する良い教材となるだろう.北岳の標高は1117m,錦江湾の水深は200mであるが,高さ方向の縮尺調整はこれまでと同様に5倍とした. まとめと今後の展望以上の通り,大地の成り立ちや,自然がもたらす恵みと災いに関する理解を深めるための教材として,3Dプリンターでの地形模型の製作を行った実際に製作を行った.製作過程では,陸域と海域の解像度の差や,海岸線に沿った空白域の存在など,2種類の異なるデータセットをいかに統合するかが課題になった.筆者らはこの課題をデジタルファブリケーションの手法で解決し,製作を実現した.今後は,試作した地形模型が子供たちにどのような理解を促すのかのより詳しい分析や,教材のより効果的な活用方法について研究を進めたい.プラスチック素材を使ったことで,水や液体,溶岩に見立てた粘性のある食材等と組み合わせた実験を行うことも可能であり,例えば,海底火山の火山列の確認,溶岩の海への侵入や,海底に続くプレート境界地形の観察など,広く活用できるだろう.一方で,3Dプリンターの印刷物のサイズには制限があるため,フォーカスすべき地域ごとの最良な縮尺については,さらなる検討が必要である.
