日本原子力学会

2011年の東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故により発生した大量の燃料デブリをどのような方法により処理処分していくかが将来の課題となっている。その際、オンサイト処理の有効なオプションとして溶融塩電解法があり、本研究では塩化物溶融塩浴を用いることを検討した。上流のプロセスである選択フッ化されたジルコニウムを想定し、ZrF₄を塩化物浴に導入して、ジルコニウムの電気化学的挙動を調査した。その結果、サイクリックボルタンメトリーによりジルコニウムの還元反応を確認することができ、ZrF₄が明らかに浴中に溶解していることを確認できた。またジルコニウムの濃度によってZr⁴⁺/Zr²⁺の還元挙動に差異が観られ、浴中におけるZr²⁺の安定度について興味深い結果を得ることが出来た。