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[4]直線距離と道路距離に基づく東京23区の消防活動困難区域とその変化-2007年と2015年における二段階の広幅員(6mと12m)道路網に基づく二時点比較-

○薄井 宏行1 (1. 千葉工業大学創造工学部都市環境工学科)
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キーワード:

消防活動困難区域、道路距離、直線距離

本稿では,現行の消防活動困難区域の定義において,広幅員道路網の定義と直線距離に基づく妥当性を再考し,東京23区を対象に,(1)直線距離と道路距離それぞれに基づく消防活動困難区域とその変化,(2)直線距離と道路距離の違いによる消防活動困難区域の相違を明らかにした.2007年と2015年の二時点において,直線距離と道路距離それぞれに基づく消防活動困難区域を比較した結果,(1)環状6号線,環状8号線,甲州街道および大山街道で囲まれた地域,(2)練馬区北西部において,道路距離に基づく第一段階の消防活動困難区域(幅員6m以上の広福員道路網から200m以遠)と第二段階の消防活動困難区域(幅員12m以上の広福員道路網から200m以遠)はともに減少していることがわかった.その一方で,東京23区全体を概観すると,第一段階の消防活動困難区域はこの8年間で変化しておらず,幅員6m以上の道路の整備は遅々として進んでいない.東京23区全体を概観すると,第一段階と第二段階の各場合において,道路距離に基づく消防活動困難区域とその変化は,直線距離に基づく消防活動困難区域とその変化と概ね一致する傾向にある.他方,地区スケールで詳細にみると,幅員6m未満の狭幅員道路が幅員6m以上の道路と直接接続していない場合,道路距離では200m以遠となる場合もある.こうした事例は少数であるものの,道路網の規模は大きい傾向にあることに留意すべきである.