講演情報
[21]東京都区部の大規模開発集積地における従業者・来街者の回遊行動の傾向の変化に関する研究
○天谷 太一1、岡田 潤2、中村 文彦2、出口 敦2 (1. 東日本旅客鉄道株式会社、2. 東京大学)
キーワード:
都市再生、再開発、歩行者、エリアマネジメント、ウォーカブル、GPS
本研究では、回遊行動の観点からみた大規模開発の事後評価と今後の開発計画に関する示唆を得ることを目的とし、東京都区部の大規模開発集積地における従業者及び来街者の回遊行動の傾向を明らかにした。その結果、他の地域と比べて大規模開発集積地にはより広範囲から来街者が訪れ、2000年代後半から2010年代後半にかけてオフィス供給が行われた地区では、自宅発の勤務トリップが増加傾向にあった。人流データに基づき、地区内での回遊行動について滞在時間と回遊距離の観点から分析を行ったところ、平均的には回遊距離が減少し回遊行動が縮小傾向にあったものの、来街者に限れば滞在時間と回遊距離は増加し、回遊行動がより広範囲かつ長時間行われるようになった。そして、2017年から2023年にかけての滞在時間と回遊距離の増減によって大規模開発集積地を分類すると、滞在時間と回遊距離が共に増加した類型には大手町地区・丸の内地区・淡路町地区が該当した。特に、エリアマネジメント等のソフト分野の公共貢献や、周辺開発との連携がみられるそれらの地区では局所的な回遊行動の高まりがみられた。