講演情報

[39]原子力災害による避難者等の受け入れに伴う人口および都市構造の変化について

○齊藤 充弘1 (1. 福島工業高等専門学校)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

原発事故、避難者、人口変化、都市構造、復興計画

本研究は,原発事故からの復旧・復興期とその後の成長・発展期に着目して,避難者等を受け入れたと定義する4市町を対象として,人口構造および都市構造変化を明らかにすることを目的とする。性別,年齢5歳階級別の人口および産業大分類別の就業者数および事業所数に着目して事故発生前からの経年分析をすると,復旧・復興に関係する需要に伴なう部門・項目の人口が増加したり減少したりしており,一時的な変化をしていることがわかった。また小地域単位でみると,複数の人口変化パターンが対象地域内にモザイク状に分布していることがわかった。短期間で流入した人口は短期間で流出して減少しており,それに代わり同じ市町内の他の地域において人口が増加する形となっている。その結果,未利用地に建設された住宅が解体されて再び未利用地になっていたり,新たに未利用地に集合住宅や戸建住宅,復興公営住宅を建設して人口が増加している地域もあり,交通体系や都市施設が未整備なまま住宅建設が先行している。今後の人口減少期においては,将来にかけての定住を見据えて人口や事業所の集積を進めながら,指標間の関係性を構築するようなまちづくりへの取り組みが求められる。