講演情報
[46]地区別将来コスト推計による東京圏における水道事業の持続可能性に関する研究
○持木 克之1、籠 義樹2 (1. 麗澤大学経済社会総合研究センター、2. 麗澤大学)
キーワード:
水道事業の持続可能性、地区別将来コスト推計、東京圏
水道事業は公営企業としての採算が改善されてきているが、今後の人口減少は経営に再び困難を生じさせ得る大きな課題となる。現在検討が進められている広域化は事業体の規模拡大等による効率化が期待される反面、地区の状況に応じたきめの細かい対策がおざなりになる危険性を孕んでいる。本研究では、東京圏の水道供給に要する地区別のコストに着目した。決算データ等を用いて水道事業体のコストの推計式を、事業体の規模別に資本費、支払利息、設備の運転費用、その他費用に分けた上で求めた。推計式を活用して将来の地区別のコストを推計し、2050年の地区別コストについて次の結果を得た。2020年比で料金値上げの許容限度である20%以上の増加となる地区が約半数となった。加えて、2020年の東京圏全体の平均コスト比で2倍を超える地区が全体の約4割まで増え、その地区は都市の中心に向かって広がることを示した。この結果から、東京圏においてもコストが割高な地区の増加により、水道事業の持続可能性に影響が生じ、広域化の課題となり得ることを示した。