講演情報
[51]カミロ・ジッテの思想的変遷に関する研究「芸術性」から「実用性」への展開を中心に
○渡邊 智也1、松原 康介2 (1. JR東日本、2. 筑波大学)
キーワード:
自然美、芸術美、イマヌエル・カント、広場、都市拡張、収用
本研究は、カミロ・ジッテ(1843-1903)の「芸術原理に基づいた都市計画」以降の一連の著作を、主に「実用性」の視点から検討し、ジッテの芸術的都市計画を実現するために実用的視点から何が必要であったかを抽出し、「芸術性」と「実用性」の両立に向けたジッテの思想的変遷を明らかにすることを目的とする。年代順に、「芸術的原理に基づく都市計画」(1889年)(3章)、その後の講義録・論考等(1889-1901年)(4章)、晩年の『都市計画』(Der Städtebau)創刊号(1904年)における論考(5章)に分け、シッテの言説が晩年に近づくにつれ、「実用性」に関する様々な論考を含むようになっていった事実を明らかにした。実際、ジッテが一貫して「芸術性」を追求したからこそ、様々な分野で実用性の問題が顕在化したのである。