講演情報
[96]居住地周辺における空間体験が居場所の認知へ与える影響−異なる居住環境をもつ藤沢市の2 つの郊外住宅地の高齢者を対象として−
○山岸 颯汰1、後藤 春彦2、髙嶺 翔太3、林 廷玟4 (1. 早稲田大学大学院創造理工学研究科、2. 早稲田大学理工学術院、3. 早稲田大学リサーチイノベーションセンター、4. 早稲田大学理工学術院総合研究所)
キーワード:
居場所、空間体験、居住地周辺、郊外、高齢者、居住環境
日本では1980 年代以降、居場所の重要性が注目されている。居場所とは、個々人が主観的に認知するものであり、個々人の居場所の認知を促す居住環境の形成が求められる。一方、現代の都市計画やまちづくりにおいては、人びとの活動の蓄積が、地域との関係性や空間の価値の創造に貢献するとされている。このことを踏まえると、居場所の認知を促す居住環境形成においても、人びとの活動の蓄積を考慮することが重要である。本研究では、異なる居住環境をもつ2つの郊外住宅地の高齢者を対象として、高齢期前の空間体験と高齢期の居場所の認知の関連について検討した。その結果、高齢期前の空間体験の増加は、高齢期における居場所の認知を促すことが明らかとなった。また、居住地周辺における空間体験が居場所の認知へ与える影響を3つのパターン(【社会的な交流の継続】【物理的な要素の持続】【個人的な来訪の習慣化】)に分類し、これら3つの影響パターンと、居場所である空間の分類、居場所での交流の分類との対応関係を分析した。そして、ここまでで得られた知見を踏まえ、空間体験との関連からみた居場所の認知を促す居住環境形成のための5つの指針を提示した。