講演情報
[98]川崎市「資源ごみ持ち去り禁止条例」制定をめぐる経緯と課題-ホームレスと地域住民の関係性に着目して-
○和田 倫典1、杉田 早苗2、土肥 真人3 (1. 株式会社オオバ、2. 岩手大学、3. 東京工業大学)
キーワード:
ホームレス、資源ごみ持ち去り、空き缶回収
川崎市は2022年、市民の安全安心なごみ出し環境の保全と廃棄物適正処理の推進を目的に空き缶等の資源ごみを集積所等から持ち去ることを禁止する条例を施行したが、空き缶を売ることを唯一の収入源とするホームレスの人たちにとっては、これは健康や命に関わる重要な問題である。本研究では、条例制定の経緯と課題を明らかにすることを目的に、川崎市議会での議論やホームレスの人たち自らが意見を寄せるパブリックコメントを分析した。その結果、パブコメのみに語られる本問題をめぐる重要な意見が多くあること、資源ごみ持ち去り問題は市民のホームレスに対する意識の変化による解決が求められるが、市民意識の成熟を図るべき場の一つである議会へのパブコメ結果の情報提供が不十分であったことなどが明らかとなった。