講演情報
[105]福島原発被災地域における建築動向と土地利用変化に関する研究-先行的に避難指示解除した楢葉町を事例として-
○庄司 有希子1、荒木 笙子2、姥浦 道生3 (1. 仙台市役所、2. 東北大学大学院工学研究科、3. 東北大学災害科学国際研究所)
キーワード:
原発被災地域、土地利用変化、建築動向、福島県、空き地
本研究は、原発被災地域の中でも先行的に避難指示解除した福島県楢葉町を事例として、建築動向の実態把握を通して土地利用の変化を分析することで、自治体全域を対象とした都市空間変容の実態とそのプロセスを明らかにすることを目的としている。建築動向に関しては、建築主・用途・立地が時間的に変化しており、土地利用変化については、「新築」や原位置での建替え以外の建築が存在し、都市の郊外部での建築や都市的土地利用の拡大が生じていたことが明らかになった。また、復興初期から町外の住民による建築も存在し、先行的に避難指示が解除された地域として、避難指示解除前から周辺地域住民の受け皿としての役割を果たしていたことが示唆された。変化する建築需要を受け入れながら復興が進められ、復興計画に基づく動きと個別の動きの総体として現在のまちが形成されている。課題として、従前の土地利用規制が緩かったこと、建物の解体と建築が同時並行的に進んだこと、復興過程での周辺地域からの移入への対応が挙げられる。