講演情報
[113]多様な主体が関わる出産祝いプロジェクトの成立経緯と参加主体にもたらす変化に関する研究‐横浜市戸塚区の認定NPO法人こまちぷらすのウェルカムベビープロジェクトに着目して‐
○石川 夏帆1、藤井 さやか2 (1. 筑波大学大学院システム情報工学研究群、2. 筑波大学システム情報系・准教授)
キーワード:
子育て、まちづくり、地域活動、孤立予防、NPO法人
近年、産後の母親の孤立が深刻化し、子育て当事者層と非当事者層との軋轢によって孤立が助長されている。よって、産後の母親を地域へ繋げ、子育てを支える温かい雰囲気を作ることが重要である。本研究では、横浜市戸塚区の認定NPO法人こまちぷらすがヤマト運輸株式会社と共同でおこなう、地域住民や企業から協賛を集めて出産した家庭に出産祝いを届ける「ウェルカムベビープロジェクト(以後WB)」に着目する。WBの運営実態の分析を通じて、子育て中の母親へのアウトリーチと地域活動への参加促進を実現するプロジェクトの事業実態と事業展開、関係主体の関わり方、運営の工夫を明らかにし、同様の取組を他地域で展開する際の示唆を得ることを目的とする。出産祝いを受け取った母親は安心感や外出の機会を得ており、支援する主体は顧客のニーズ把握や地域との関わりの機会を得ていることがわかった。運営側はこの仕組みをつくる上で地域の多様な主体とWINWINの関係を築き、異なる主体が交わる場で創発がおこっていた。以上より他地域での展開には、産後の家庭へ地域の情報や参加機会を提供することや、参加者の声を共有する機会を実施することの重要性が示唆された。