講演情報

[119]欧州連合の「統合的かつ持続可能な都市開発戦略」に関する研究―都市の固有性を尊重する統合性に着目して―

○太田 和1、杉田 早苗2、土肥 真人3 (1. (株)オリエンタルコンサルタンツグローバル、2. 岩手大学農学部、3. 東京工業大学環境・社会理工学院)
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キーワード:

都市政策、欧州連合、統合性、ISUD戦略、スペイン、セビリア

本研究は、欧州連合(EU)の都市政策の中で培われた特徴の一つである「統合性」に着目し、「統合的かつ持続可能な都市開発戦略:ISUD戦略」を対象として、その歴史的背景および制度設計を明らかにすることを目的とする。さらに、スペイン、セビリアを具体的事例として取り上げ、各都市の固有性を尊重しながら同時にEU全体の結束を実現しようとするISUD戦略の運用実態を明らかにすることを目的とする。文献調査およびインターネット調査により、以下のことが明らかとなった。①EUの都市政策は、都市の重要性が認識されるにつれ政策を派生させつつ予算的、地理的にその対象範囲を拡大し、各国や各都市の固有性を尊重する手法を洗練させてきたといえる。それは、資金提供とEU全体に共通するフレームワークの使用を各国や都市に課すという制度設計によるものであった。②セビリア市でのISUD戦略の事例からは、セビリア市の固有の課題をEUとスペインの政策枠組みの中で、地域を超えた共通の課題として捉え、解決に向けたアクションが展開されていた。これはEU全体の課題と地域の固有性を組み合わせて課題を解決しうる1つの方法を示している。