APPW2025(第130回日本解剖学会/第102回日本生理学会/第98回日本薬理学会合同大会)

座長：大津 航（岐阜薬科大学・バイオメディカルリサーチ寄附講座）、小林 純子（長崎大学　高度感染症研究センター　感染症糖鎖機能研究分野）

細胞膜は外環境と内部を隔てる境界として細胞を形づくっており、脂質二重層の内層と外層の非対称性は細胞の生理機能や細胞死といった多様な生命現象に関与する。糖脂質とコレステロールに富む膜微小領域である脂質ラフトは、受容体などの膜タンパク質を介したシグナル伝達の他にも開口分泌といった動的な物質輸送の制御に関わることが知られている。脂質ラフトの安定化には内在性レクチンであるガレクチンなどの様々な分子の関与が報告されている。また、コレステロールと膜タンパク質の産生の場である小胞体については、小胞体プロテオスタシス破綻と脳萎縮のような神経変性疾患の病態変化との関わりが明らかとなっている。本シンポジウムでは、脂質やタンパク質、糖鎖などの膜マイクロドメインを構成する分子群の“協奏”による生体膜のホメオスタシス制御について、分子病態解明に向けた最新の知見を紹介するとともに新規治療への展望について議論したい。