APPW2025(第130回日本解剖学会/第102回日本生理学会/第98回日本薬理学会合同大会)

座長：小西 博之（名古屋大学大学院医学系研究科　機能組織学）、畠山 淳（熊本大学　発生医学研究所　脳発生分野）

脈絡叢が産生する脳脊髄液は、脳を構成する神経細胞やグリア細胞に栄養を供すると同時に、それらの細胞から出る老廃物を回収すると考えられている。脳脊髄液の流路の概念は、グリンパティックシステムや硬膜内リンパ管の発見などにより、この10年で大きく変わった。それに加え、脳脊髄液を容れる髄膜に対する認識も、脳を包む物理的構造から脳機能に影響する機能的構造へと変わりつつある。本シンポジウムでは、脳の発生、老化、病態というライフイベントに対する脳脊髄液や髄膜の関与を、形態・分子両面から未発表データを元に議論する。脳脊髄液や髄膜に関する研究は、特にこの数年、一流誌に頻繁に論文が掲載されていることからも世界的な研究トレンドと考えられるが、国内の研究人口は非常に少ない。また、新たな概念が多く、理解の遅れを周囲に感じている。タイムリーかつ発展性が見込まれる研究対象であるため、今大会で認識を広めたい。