APPW2025(第130回日本解剖学会/第102回日本生理学会/第98回日本薬理学会合同大会)

座長：中山 恒（旭川医科大学　医学部　薬理学講座）、冨田 修平（大阪公立大学 大学院医学研究科 分子病態薬理学）

酸素の需要が供給を上回ると低酸素環境が形成され、生体内の随所で様々なレベルで低酸素応答を引き起こす。さらに、がん、虚血性疾患、炎症組織などではより厳しい病的な低酸素状態が形成される。このような状況下で、がんの悪性化や、虚血・炎症性疾患に観られる生体機能の抑制などが起こる。これまで生体の低酸素研究は、低酸素誘導性因子HIFを中心にその分子機序の解明が進められてきたが、未だに生体の酸素分圧低下に適応するメカニズムの全容解明には至っていない。個体レベルでも、病態生理への関わりが明らかになってきた一方で、関連する疾患の治療へのアプローチは依然限られている。本シンポジウムでは、がん・循環・代謝・神経などの異分野の専門家が集結し、モデル動物・イメージングを用いた独自のアプローチを紹介し、議論することで、低酸素応答システムの理解を深め、新たな低酸素創薬の展望を描きたい。