APPW2025(第130回日本解剖学会/第102回日本生理学会/第98回日本薬理学会合同大会)

座長：宮田 暖（国立感染症研究所細胞化学部、第四室）、野口 雅史（和歌山県立医科大学 薬学部 薬品作用学研究室）

ミトコンドリアは自律的に融合と分裂を繰り返す動的な細胞内小器官であり、オートファジーによる選択的分解を通じて恒常性を維持する（ミトコンドリアダイナミクス）。近年、ミトコンドリアダイナミクスが代謝系の変化を介して、細胞死や分化等多様な細胞応答を誘引し、個体運命を左右することが病因学的観点から注目されている。本シンポジウムでは、ミトコンドリアが細胞外環境に応答し、その形態や代謝を変化させることで、成体組織の細胞機能にどのように影響を与えるか、またその精緻な制御機構を議論する。これにより、ミトコンドリアの組織生理学的役割を明らかにし、疾患治療への分子標的を探索する。さらに、ミトコンドリアを対象とした疾患治療の実践的介入戦略として、ミトコンドリアトランスファー技術の現在について考察する。本シンポジウムは特に、若手研究者を中心とした国際的議論により、ミトコンドリア標的医療の未来像を描くことを目指す。