セッション詳細

[PV]緊急企画:世界的流行・今そこにある危機~AFP サーベイランスと小児神経科医の届出義務

2025年6月6日(金) 10:40 〜 11:40
第5会場
座長:多屋 馨子(神奈川県衛生研究所) ,奥村 彰久(愛知医科大学医学部小児科)
アフリカで広がっていたワクチン由来ポリオウイルス2型(VDPV2)が、ヨーロッパでも広がり、ナイジェリアで見つかっている株と遺伝的に関連していることが報告されています。麻痺症例は検出されていないものの、環境水(下水)ではヨーロッパの多くの地域(スペイン: バルセロナ、ポーランド: ワルシャワ、ドイツ: ケルン、ボン、ドレスデン、デュッセルドルフ、マインツ、ハンブルク、ミュンヘン、フィンランド: タンペレ、英国: リーズ、ロンドン、ワージング)で、VDPV2が見つかっています(Polio Global Eradication Initiative: 2024年12月13日)。
日本では15歳未満の急性弛緩性麻痺はギラン・バレ―症候群を含めて、全例を管轄の保健所に届出することがすべての医師に義務付けられていますが、日本小児神経学会共同研究支援を受けて実施した全国調査では、感染症法に基づく感染症発生動向調査の届出基準を満たした症例の30%しか保健所への届出が実施されていなかったことがわかりました(豊倉いつみ、他:日本小児科学会雑誌. 2025年1月号掲載)。
日本ではポリオは根絶されており過去の病気として多くの医師の関心が薄れているのが現状です。しかし、世界におけるVDPV2の現状を鑑みると、いつ日本にVDPV2が入ってきてもおかしくない状況です。そこで、世界の現状を把握し、急性弛緩性麻痺と診断した場合の保健所への届出と、麻痺急性期の臨床検体を確保して、ポリオウイルスならびに急性弛緩性麻痺を引き起こす原因病原体を検索することの重要性を伝えるとともに、診断後の検査や治療について情報共有することを目的に本企画を開催することになりました。VDPV2が侵入してきた場合の対応と、急性弛緩性麻痺症例の迅速な探知と検査、診断、治療について、学会参加の皆様と情報共有したいと考えております。多くの先生方のご参加をお待ちしています。

[PV-1]ポリオ根絶の光と影,迫るウイルスの現状 I

遠田 耕平 (秋田赤十字病院)

[PV-2]ポリオ根絶の光と影,迫るウイルスの現状 II

清水 博之 (国立感染症研究所)

[PV-3]小児神経科医の急性弛緩性麻痺(AFP)届出義務と急性期検体確保の重要性

佐野 貴子1, 大屋 日登美1, 関戸 晴2, 多屋 馨子3 (1.神奈川県衛生研究所微生物部, 2.神奈川県衛生研究所企画情報部, 3.神奈川県衛生研究所)

[PV-4]ポリオ根絶後のAFP 臨床像

チョンピンフィー (九州大学大学院医学研究院成長発達医学)