日本化学会 第107春季年会 (2027)

開催予定のシンポジウム

開催予定のシンポジウムの情報を随時掲載いたします。掲載時点の情報であり今後変更する可能性があります。

企画詳細

イノベーション共創プログラム(CIP)

気候変動、環境・生態系の変化、資源制約、人口動態の変化、感染症など、私たちが直面する問題は相互に絡み合い、一つの専門領域や組織だけでは解決できない複雑さを増しています。物質を設計し、機能を生み出し、社会へ実装する化学には、これらの課題を新たな価値へ転換する力があります。いま求められているのは研究成果を「知る」だけでなく、異なる知と技術を「つなぎ」、社会に届くイノベーションへと「育てる」ことです。本プログラムでは「イノベーション共創」を軸に13のテーマを設定し、産学官の研究者・技術者が基礎研究から社会実装までを見通して議論する場を提供します。さらにCIPポスターでは、シーズとニーズの対話を促進するとともに、イノベーション共創講演賞を通じて産業への展開が期待される優れた研究を顕彰します。分野や立場を超えた出会いから、新たな研究連携と未来を動かす挑戦が生まれる機会創出を目指します。
シンポジウム名称
AI for Scienceとラボオートメーションが拓く自律型研究開発の最前線-材料科学からライフサイエンスまでを変える研究革命-
水が拓くエネルギー変換・貯蔵・界面科学の新展開
次世代太陽電池を支える基盤技術と社会実装
カーボンニュートラル達成のための新境地開拓
蓄電池研究の新潮流-先駆者と新世代研究者が語る将来技術-
長期エネルギー貯蔵が拓く再生可能エネルギーの最大活用―蓄熱技術とレドックスフロー電池(RFB)の最前線 ―
健康社会を拓く分子技術:ケミカルバイオロジーからバイオメディカルへ
デジタルヘルスケアの最前線
科学で世界を変革するバイオベンチャーの新たな戦略
フレキシブル分子性結晶材料「ソフトクリスタル」が切り拓く革新的未来
有機・高分子材料が切り拓く半導体の未来 -有機エレクトロニクスから先端半導体プロセス・実装まで-
電化する化学―マイクロ波加熱・有機電解合成で拓く化学プロセス

MOF研究の新潮流―システムの中で生きる材料科学

 

AI for Scienceとラボオートメーションが拓く自律型研究開発の最前線-材料科学からライフサイエンスまでを変える研究革命-

材料・化学・ライフサイエンスをはじめとする実験科学において、AIが仮説や実験計画を立案し、ロボットが実験を実行する「自律型研究開発」は、研究開発の高速・高効率化や新たな科学的発見を加速する可能性から大きな期待を集めています。
一方で、その実現には多くの課題が残されています。例えば、AIによる実験計画や意思決定の信頼性・説明可能性、異種データの統合やデータ基盤の整備、自動化機器や分析装置間の連携などが挙げられます。また、実験結果を次の実験へ反映するクローズドループの構築が進む一方、その多くは特定の実験系や設備に最適化されており、汎用性の高い自律化技術の実現も求められています。
本セッションでは、自律型研究開発の最新の研究成果や実践事例を紹介するとともに、AI for Science、ラボオートメーション、分析・計測技術、データ基盤などの課題と解決の方向性を議論します。そのうえで、人とAI・ロボットが協働する次世代の研究開発と実験科学の未来についても議論します。

水が拓くエネルギー変換・貯蔵・界面科学の新展開

近年,カーボンニュートラル社会の実現に向けて,水は単なる反応媒体や溶媒ではなく,エネルギー変換・貯蔵・物質循環を支える重要なプラットフォームとして再認識されています。水系電池,水電解,燃料電池,人工光合成・光触媒など,多様なエネルギー技術では,水の化学的・物理的特性に加え,水と固体界面との相互作用やイオン輸送,電子移動,反応ダイナミクスの理解が革新的材料・デバイス創製の鍵となっています。さらに近年では,オペランド計測,第一原理計算,AI・データ駆動型材料設計などの先端的アプローチが,水を介した界面反応の理解と高性能材料の創出を大きく加速しています。本シンポジウムでは,「Water × Energy」と「Water × Interfaces」の二つの視点から,水系蓄電池,光触媒,水電解を主眼においた材料開発,固液界面反応オペランド解析やデータ駆動型材料設計など,最前線の研究成果を俯瞰します。大学・研究機関・企業の第一線で活躍する研究者・技術者が一堂に会し,基礎科学から社会実装までを横断的に議論することで,「水」を共通基盤とした新たなエネルギー・界面科学の学術領域を切り拓くとともに,分野融合による次世代研究の方向性を展望します。

次世代太陽電池を支える基盤技術と社会実装

次世代太陽電池は、炭素循環社会の実現やエネルギー安全保障の確保、気候変動対策に加え、AIやデータセンターの急速な普及に伴う電力需要の増大に対応するための重要なエネルギー技術として期待されています。本セッションでは、次世代太陽電池に関する最新の研究成果と、社会実装に向けた具体的な取り組みを取り上げます。太陽電池の基礎に関するレクチャーから、発電効率や耐久性の向上、新材料・デバイス技術の開発、さらには量産化を見据えた製造技術や実証に至るまで、基盤技術から社会実装にわたる幅広い課題について議論します。これらを通じて、今後のエネルギー需要を支える次世代太陽電池の役割を考えるとともに、将来の技術および市場の展望を議論します。

カーボンニュートラル達成のための新境地開拓

2020年10月の「2050年カーボンニュートラル」宣言を契機に、わが国では、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減し、2050年までにカーボンニュートラルを実現するという目標が掲げられました。
本セッションではこれまで、再生可能エネルギーによる水素製造、CO2の触媒的水素化による有用物質への変換、バイオマス変換技術などを取り上げてきました。今回は2050年を見据え、既存技術の延長にとどまらない新たな発想によって、CO2排出量の抜本的な削減に挑む新進気鋭の研究者を招きます。革新的な研究の最前線を共有し、カーボンニュートラルの実現に向けた新たな可能性を議論する場とします。

蓄電池研究の新潮流 -先駆者と新世代研究者が語る将来技術-

モビリティの電動化の加速に加え、データセンターやロボティクス分野における蓄電池需要の拡大を背景に、蓄電池技術にはこれまで以上の高性能化・高機能化が求められています。その実現に向けて、従来の電池技術の高度化にとどまらず、革新的な電池材料の創製、先端解析技術の開発、新たな電池反応の探求など、多様なアプローチから次世代蓄電池研究が進展しています。本セッションでは、蓄電池研究を牽引してきた先駆的研究者と、新たな研究領域を切り拓く新世代研究者が最先端の研究成果と将来展望を紹介します。材料、プロセス、反応解析、セル設計など幅広い視点から、次世代蓄電池の実現に向けた学術的課題と技術的ブレークスルーについて議論し、蓄電池研究の新たな潮流を展望します。

長期エネルギー貯蔵が拓く再生可能エネルギーの最大活用― 蓄熱技術とレドックスフロー電池(RFB)の最前線 ―

再生可能エネルギーの導入拡大が進む中、太陽光や風力発電の出力変動に対応し、長時間から季節間にわたるエネルギー需給調整を実現する長期エネルギー貯蔵(LDES:Long Duration Energy Storage)技術への期待が世界的に高まっています。特に熱エネルギー貯蔵(蓄熱)およびレドックスフロー電池(RFB)は、大規模・長寿命・高安全性といった特徴を有し、炭素循環社会を支える重要な基盤技術として注目されています。
本セッションでは、熱エネルギー貯蔵に関するさまざまな技術、すなわち、顕熱蓄熱、潜熱蓄熱、化学蓄熱、熱マネジメントなどの研究開発動向を俯瞰し、材料化学からシステム実装までを横断的に議論します。また、RFBでは、バナジウムを活物質とする電解液が実用化されていますが、本セッションでは、更なる高性能化や低コスト化を目指して開発が活発化している、金属錯体や有機物を活物質とする新規電解液に注目します。
化学が果たす役割を改めて見つめ直し、畜熱と蓄電の両面からエネルギー貯蔵技術の将来像を議論することで、次世代エネルギーシステムの構築に向けた新たな研究連携・技術展開の契機となることを期待します。

健康社会を拓く分子技術:ケミカルバイオロジーからバイオメディカルへ

過去30年にわたり、ケミカルバイオロジーは目覚ましい発展を遂げ、生命現象を理解・制御するための多彩な分子技術を生み出してきました。その成果は、蛍光プローブなどの研究ツールにとどまらず、多様な医薬品モダリティやバイオマテリアルへと広がり、基礎生命科学と医療をつなぐ重要な基盤となっています。
本セッションでは、独創的な分子技術の創出に取り組む産学官の研究者が集い、日本発のケミカルバイオロジー研究の最前線を紹介します。さらに、得られた知見や技術をバイオメディカル分野へ展開し、社会実装につなげるための課題と可能性を共有します。ケミカルバイオロジーからバイオメディカルへ――分野の垣根を越えた議論を通じて、次世代の健康社会を拓く新たな方向性を探ります。

デジタルヘルスケアの最前線

各種デバイスを活用した健康データの記録や、人工知能(AI)や機械学習の活用による診断・治療の支援を行う技術開発は、近年長足の進歩を遂げ大きな注目を集めています。これらデジタルヘルスケア技術の開発には、代謝産物、タンパク質、ゲノム情報などの生体情報に関するビッグデータを活用して、個々人の体質にあった生活習慣やケア方法を提案することが重要となってきました。また生成される大量のデータは、ヒトの健康情報、モニタリングデータ、診断結果、治療効果など、その膨大な量と多様な情報を活用することで、個々の健康管理や医療プロセスの向上を通じてよりよい地域社会に貢献すると期待されています。本セッションでは、これら最新の技術やその事業化に向けての取り組みについて話題を提供します。

科学で世界を変革するバイオベンチャーの新たな戦略

近年、iPS細胞や核酸医薬、次世代型ペプチド、デジタル技術等により、目覚ましい発展を遂げている医療・バイオ分野のイノベーションにより、治療が困難であった疾患に対する新たな治療法や、社会に役立つ有用物質の創製技術が確立されつつあります。このセッションでは、独自に開発された科学技術に基づいた新たな戦略を通じて、世界に変革をもたらすべく躍進するバイオベンチャーの代表の方々にご講演いただき議論します。

フレキシブル分子性結晶材料「ソフトクリスタル」が切り拓く革新的未来

ソフトクリスタルは、規則的な結晶構造を有する安定な分子性固体でありながら、結晶性を保持したまま、蒸気、熱、光、機械的刺激などの比較的弱い外部刺激に応答して、構造変換や相転移を起こすという特徴を持ちます。例えば、蒸気や機械的刺激によって相転移が誘起され、それに伴って発光特性や光学応答などの光物性が大きく変化します。そのため、発光、励起状態ダイナミクス、光学応答などの光物性に加え、相転移に伴う構造変化や熱力学を理解し、それらを材料機能として活用することが重要です。
本セッションでは、分子性結晶およびその関連材料の開発、物性評価、機能創出に関する最先端の基礎研究から応用研究までを対象とし、アカデミアおよび企業で本分野を先導する研究者の方々にご講演いただきます。これにより、フレキシブルな分子性結晶材料である「ソフトクリスタル」が切り拓く新たな機能と革新的技術開発の可能性を展望します。

有機・高分子材料が切り拓く半導体の未来 -有機エレクトロニクスから先端半導体プロセス・実装まで-

AIの急速な普及やデータ社会の進展、さらには次世代通信、自動運転、ロボティクスの発展に伴い、半導体技術には飛躍的な高性能化・高集積化・低消費電力化が求められています。その進歩を支えているのはシリコンを中心とした無機材料だけではありません。有機半導体、フォトレジスト、絶縁材料、界面制御材料、先端実装材料など、多様な有機・高分子材料がデバイス性能の向上や製造プロセスの革新を牽引しており、半導体技術の進化において不可欠な役割を担っています。また近年では、分子レベルで精密設計された材料やデータ科学を活用した材料開発により、有機エレクトロニクスから先端半導体プロセス、さらには新たなデバイスアーキテクチャへと展開が広がっています。
本セッションでは、有機半導体やフレキシブルエレクトロニクスなどの新しい電子機能材料から、レジスト、界面材料、実装材料に至るまで、半導体技術を支える有機・高分子材料研究の最前線を紹介します。分子設計、材料開発、プロセス技術、デバイス応用を俯瞰するとともに、産学それぞれの視点から今後の課題と展望を議論し、有機・高分子材料が切り拓く半導体技術の未来像を探ります。

電化する化学―マイクロ波加熱・有機電解合成で拓く化学プロセス

カーボンニュートラルの実現に向け、化石燃料の燃焼に依存してきた化学プロセスを、再生可能エネルギー由来の電力で駆動する「電化」が、ものづくりを変革する鍵として注目を集めています。本セッションでは、その両輪として期待されるマイクロ波加熱と有機電解合成に焦点を当てます。マイクロ波は反応場を直接かつ選択的に加熱し、有機電解合成は電子そのものを試薬として精密な物質変換を可能にします。アカデミアと産業界の第一線で活躍する講師陣が、基礎科学から実用化・社会実装に至る最新動向を一堂に紹介し、両分野の融合が生み出す次世代化学プロセスの可能性を展望します。電化が拓く化学の未来を、皆様とともに議論できれば幸いです。

MOF研究の新潮流―システムの中で生きる材料科学

昨年のMOF分野におけるノーベル化学賞受賞は、本領域の学術的・社会的意義を世界に示すものであり、我々化学者にとっても大変喜ばしい出来事となりました。MOF研究は今、これまでのマイルストーンを越えようとしています。例えばAIを活用した物質探索・構造設計との融合が進む一方で、単一バルク物質としての機能追求にとどまらず、異種材料との複合化や界面構造・デバイス設計など、複雑で高度な機能を生み出す方向へと、研究の焦点はシフトしつつあります。本セッションでは、これを契機として、MOF研究のこれまでの流れを振り返りつつ、これからの新たな潮流について議論いたします。本分野の発展を牽引してきた研究者、および様々な分野から新鮮な視点とともに取り組む気鋭の研究者をお招きし、次世代の材料科学がいかに発展していくべきか、参加者とともに多角的な視点から展望を共有したいと考えております。

企画詳細

中長期テーマシンポジウム

中・長期戦略に基づくシンポジウムを春季年会実行委員会と学術研究活性化委員会の合同企画として継続的に実施しています。 本年会では次の8テーマを実施予定です。

シンポジウム名称

発生生物学と化学から紐解く進化と生物多様性

キャリア機能に着目した有機エレクトロニクスの新展開

シーケンシャル物質化学:ソフトマテリアルの序列配置技術

分子スピン科学の最前線:単分子磁石とスピン量子ビット

炭化フッ素にまつわる新科学と双極子空間

アウトライアー:脱アンサンブル平均の分子科学

水圏機能材料創製を目指した先端計測やシミュレーションの活用による水と材料の関係の理解

人工光合成はどこまで進んだのか?:学術的深化と産業実装への道

発生生物学と化学から紐解く進化と生物多様性

本企画は、「進化と生物多様性を司る化学」を総合テーマとした中長期テーマ企画の第2回として開催する。生命科学の様々な分野に携わる研究者と化学者が分野を超えて連携・交流することで、生物の進化や多様性を新たな視点から捉え直し、これまでにない学術的枠組みの創出を目指す。今回は、発生生物学の立場から生命現象に取り組む研究者を中心に招聘し、生命の仕組みや物質との関わりを化学的・医薬学的視点から再考する場とする。

キャリア機能に着目した有機エレクトロニクスの新展開

有機半導体材料は、分子構造に基づく精密な物性制御が可能であり、電荷・励起子の振る舞いを設計できる機能性材料として注目を集めている。近年は、キャリアの生成・分離・輸送・変換に関する基礎理解の深化により、有機太陽電池のみならず、フォトディテクタ、発光・発電一体型デバイス、振動発電素子、熱電素子といった多様な有機エレクトロニクスの開発が加速している。本企画では、有機半導体材料を用いたエネルギー変換および光機能デバイスの最前線を紹介し、キャリア制御を鍵とする新たな材料・デバイス設計指針と学術的展望について議論する。

シーケンシャル物質化学:ソフトマテリアルの序列配置技術

本企画では、機能性物質創製の新たな方法論として、狙った場所に狙ったタイミングで高分子や有機材料の精密序列配置を可能にする最新の研究を講演していただく。多彩な材料群の創製のみならず、その理論検証から構造解析、機能化に至るまで、物質化学を幅広く統括する新しい概念の探求につながるシンポジウムを開催する。

分子スピン科学の最前線:単分子磁石とスピン量子ビット

近年、分子設計に基づくスピン状態制御や量子コヒーレンスの理解が進展し、量子情報やスピントロニクスへの応用が期待されている。本企画では、分子材料を基盤としたスピン機能の創出に焦点を当て、金属錯体、無機化合物、ならびに理論研究の観点から単分子磁石およびスピン量子ビットの最前線を議論する。本分野の異分野融合的な議論を通じて、新たな分子スピン科学を探求する。

炭化フッ素にまつわる新科学と双極子空間

ソフトマターやスマートマテリアルに象徴される有機材料は,その分子骨格が炭化水素(HC)であることを暗黙の了解として,有機合成,物理化学,分析化学,振動分光学,高分子科学,界面科学,バイオ工学などが高度に発展し,社会に受け入れられている.一方,HCの水素をフッ素に全置換したパーフルオロアルキル骨格を持つ炭化フッ素(FC)類は,合成法と応用が進展した一方で,物性発現原理がHCと大きく異なること自体がほとんど認識されないまま「ものづくり」だけが発展して,PFAS問題への対応に苦慮する状態にある.本企画では,FCのマクロ物性に固有の双極子空間という階層構造に着目した科学を分野横断的に研究して議論する.

アウトライアー:脱アンサンブル平均の分子科学

物理化学・計算化学は計算・計測技術の飛躍的進展により,単一分子から巨視系までを精緻に扱う段階に到達した。しかし,実在の分子複雑系では,平均的描像では捉えきれない少数の特異的分子や過渡種が,反応や構造を支配する場合が少なくない。このようないわゆる外れ値「アウトライアー」に着目し,アンサンブル平均に依拠した従来の分子科学を再考する。単一分子分光,時間分解計測,大規模計算,理論解析を横断し,「アウトライアー」が全体を規定しうる分子科学の新たな視座を提示し,その応用を含めた次世代物理化学への展望を議論する。

水圏機能材料創製を目指した先端計測やシミュレーションの活用による水と材料の関係の理解

本シンポジウムでは、水を基盤とする機能材料としての「水圏機能材料」の最先端研究に焦点を当てます。特に今回の企画では、水の分光解析や放射光を活用した構造解析などの先端計測手法と、分子動力学シミュレーションをはじめとする計算科学を融合的に活用することで、水素結合ネットワークや水のダイナミクスといった本質的な挙動の解明を図ります。これにより、界面における水の構造・ダイナミクスと材料機能との相関を定量的に理解し、水圏機能材料の設計指針の構築を目指し、水が関与する機能発現メカニズムの体系化を進めます。理論、計測、合成、物性、応用の研究者が「水」を共通基盤として連携し、分野横断的な議論を通じて、水と材料の相互作用を起点とする材料創出を目指します。

人工光合成はどこまで進んだのか?:学術的深化と産業実装への道

カーボンニュートラル社会の鍵となる人工光合成は、光触媒パネルの実証試験など社会実装へ向けた動きを加速させています。本企画では、国内のフロントランナーを迎え、エネルギー変換効率向上を目指す学術的最前線と、生成物の分離や経済性といった産業的課題の両面を議論します。技術の到達点と実装への課題を共有することで、中長期的な研究戦略の構築を目指します。