講演情報
[P-013]飴の形状の違いが舐摂行動前後の口腔乾燥状態の変化に与える影響
○百合草 誠1、大原 千洸2、鈴木 克明2、水上 陽介2 (1. 愛知淑徳大学 食健康科学部、2. 春日井製菓株式会社 商品開発部)
【目的】 高齢者において、基本属性および口腔内状況の調査,飴の舐める行動(以後、舐摂行動)前後の口腔乾燥状態の評価をすることにより,基本属性および口腔内状況が舐摂行動に与える影響を明らかにするとともに、飴の形状の違いが舐摂行動前後の口腔乾燥状態の変化に与える影響を明らかにすることを目的とした.このことにより,口腔乾燥状態を改善する方策の一助とした.【方法】 対象者は,愛知県内のA特別養護老人ホームに入所する要介護高齢者14名とした.基本属性に加え、口腔内状況について調査し、口腔内環境を評価するために口腔水分計ムーカス(株式会社ライフ社製)を用いて口腔粘膜湿潤度を測定した。試験食品は、「ハッカアメ」とし、形状は「平型」および「波凸凹型」の2種類とした. 舐摂行動前に口腔粘膜湿潤度を測定し、3分間の舐摂行動直後に再度口腔粘膜湿潤度を測定した。同時に舐摂行動前後の飴の重量変化量を計測した。【結果と考察】年齢と波凸凹型の重量変化量に有意な負の相関がみられ(r=-0.583、p<0.05)、年齢が高くなると重量変化量が減少することが明らかとなり、年齢が高いものほど舐摂機能が低いことが示唆された。また、現在歯数と波凸凹型の重量変化量に有意な正の相関がみられ(r=0.538、p<0.05)、現在歯数が多くなると、重量減少量が増加することが明らかとなり、現在歯数が多いものほど舐摂機能が高いことが示唆された。 舐摂行動前後における口腔粘膜湿潤度を比較したところ、平型において、舐摂行動前の口腔粘膜湿潤度が24.76±5.28、舐摂行動後の口腔粘膜湿潤度が26.10±2.46であり、有意な差はみられなかった(p=0.34)。波凸凹型において、舐摂行動前の口腔粘膜湿潤度が22.76±4.24、舐摂行動後の口腔粘膜湿潤度が25.95±2.16であり、有意な差がみられ(p=0.02)、舐摂行動前に比べて舐摂行動後の口腔粘膜湿潤度が有意に上昇していた。飴の形状の違いにより舐摂行動前後の口腔粘膜湿潤度の変化に差があることが明らかとなり、波凸凹型は平型に比べ、舐摂行動前後の口腔粘膜湿潤度の変化が大きく、より口腔乾燥状態を改善する効果があることが示唆された。 (COI 開示:春日井製菓株式会社)(愛知淑徳大学健康医療科学部倫理委員会 承認番号 2023-9号)