講演情報
[P-021]脳卒中急性期患者に対する定型化されたプロトコルに沿った医科歯科連携の効果
○吉住 結1,2、佐々木 好幸3、中根 綾子1,4、松原 ちあき1,5、古屋 純一1,6、酒井 克彦7、井口 寛弘8、高野 栄之9、玉田 泰嗣10、梅本 丈二11、松永 一幸12、山添 淳一13、岩佐 康行14、長谷 剛志15、元橋 靖友16、青島 公彦17、生田 稔2、水口 俊介18、戸原 玄1 (1. 東京科学大学大学院医歯学総合研究科 摂食嚥下リハビリテーション学分野、2. さいたま赤十字病院 口腔外科、3. 東京科学大学 歯学部 臨床研究推進室、4. JCHO東京新宿メディカルセンター 歯科・歯科口腔外科、5. 静岡県立大学短期大学部 歯科衛生学科、6. 昭和大学大学院 歯学研究科 口腔機能管理学分野、7. 東京歯科大学オーラルメディシン・病院歯科学講座、8. JAとりで総合医療センター 高齢者(嚥下)歯科、9. 徳島大学大学院社会産業理工学研究部(理工学域)、10. 北海道大学大学院歯学研究院 口腔健康科学分野 高齢者歯科学教室、11. 福岡大学病院 摂食嚥下センター、12. 脳神経センター 大田記念病院 歯科 、13. 九州大学病院 高齢者歯科・全身管理歯科、14. 原土井病院 歯科・歯科口腔外科、15. 公立能登総合病院歯科 口腔外科、16. 武蔵村山病院歯科 口腔外科、17. 小山記念病院 口腔外科、18. 東京科学大学大学院医歯学総合研究科 高齢者歯科学分野)
【目的】
脳卒中(脳血管疾患)には、誤嚥性肺炎を含む感染性合併症が多く、 これまでに口腔ケアが誤嚥性肺炎予防に関与することも報告されており、看護職などの医療従事者が口腔ケアを実施することが一般的となってきている。しかしながら、個々の患者に合った口腔ケアを提供するための適切なアプローチに関する質の高い根拠は依然として不足しており、脳卒中患者に対して実施された口腔管理については、誤嚥性肺炎の予防以外の効果について明確なエビデンスはない。今回、定型化されたプロトコルに沿った口腔管理の効果について検証するため、本研究を行った。
【方法】
本研究は、多施設共同の前向きコホート研究として、東京医科歯科大学(現東京科学大学)で新たに作成した口腔機能管理プロトコルに沿った口腔機能管理を行う歯科介入群(以下、介入群)と、従来の口腔ケアを行う群(以下、対象群)とで症例集積及び解析を行った。2017年7月31日から2021年1月27日までに対象病院に入院した急性期脳卒中患者1616例に対して傾向スコアの算出およびマッチングを行い、313ペア626名をアウトカムの分析に供した。
【結果と考察】
介入群では口腔清掃、舌運動、FOIS(Functional Oral Intake Scale)の改善などの口腔機能の有意な改善が認められた。さらに介入群では、入院から退院時評価日までの日数、入院期間が有意に短縮された。これらの結果から、本プロトコルを用いることで多職種による早期からの口腔機能管理と摂食嚥下リハビリテーション(以下、嚥下リハ)がシステム化され、入院期間の短縮や口腔機能の改善に繋がる可能性が示唆された。ただし、肺炎発症率については両群間に有意差は認められず、対照群における肺炎発症率が過去の研究と同様であったことから、看護職などの医療従事者の口腔衛生への意識が高まり口腔ケアを確実に実施することが一般的となり、従来の口腔ケアにも肺炎発症予防の効果があると推測された。本プロトコルを用いることで、従来の口腔ケアによる誤嚥性肺炎予防効果に加えて、多職種の早期からの口腔機能管理、嚥下リハがシステム化され、入院期間の短縮や口腔機能の改善につなげられる可能性があると考えられた。
(COI 開示:なし)
(東京科学大学歯学系倫理審査委員会承認番号 D2017-066)
脳卒中(脳血管疾患)には、誤嚥性肺炎を含む感染性合併症が多く、 これまでに口腔ケアが誤嚥性肺炎予防に関与することも報告されており、看護職などの医療従事者が口腔ケアを実施することが一般的となってきている。しかしながら、個々の患者に合った口腔ケアを提供するための適切なアプローチに関する質の高い根拠は依然として不足しており、脳卒中患者に対して実施された口腔管理については、誤嚥性肺炎の予防以外の効果について明確なエビデンスはない。今回、定型化されたプロトコルに沿った口腔管理の効果について検証するため、本研究を行った。
【方法】
本研究は、多施設共同の前向きコホート研究として、東京医科歯科大学(現東京科学大学)で新たに作成した口腔機能管理プロトコルに沿った口腔機能管理を行う歯科介入群(以下、介入群)と、従来の口腔ケアを行う群(以下、対象群)とで症例集積及び解析を行った。2017年7月31日から2021年1月27日までに対象病院に入院した急性期脳卒中患者1616例に対して傾向スコアの算出およびマッチングを行い、313ペア626名をアウトカムの分析に供した。
【結果と考察】
介入群では口腔清掃、舌運動、FOIS(Functional Oral Intake Scale)の改善などの口腔機能の有意な改善が認められた。さらに介入群では、入院から退院時評価日までの日数、入院期間が有意に短縮された。これらの結果から、本プロトコルを用いることで多職種による早期からの口腔機能管理と摂食嚥下リハビリテーション(以下、嚥下リハ)がシステム化され、入院期間の短縮や口腔機能の改善に繋がる可能性が示唆された。ただし、肺炎発症率については両群間に有意差は認められず、対照群における肺炎発症率が過去の研究と同様であったことから、看護職などの医療従事者の口腔衛生への意識が高まり口腔ケアを確実に実施することが一般的となり、従来の口腔ケアにも肺炎発症予防の効果があると推測された。本プロトコルを用いることで、従来の口腔ケアによる誤嚥性肺炎予防効果に加えて、多職種の早期からの口腔機能管理、嚥下リハがシステム化され、入院期間の短縮や口腔機能の改善につなげられる可能性があると考えられた。
(COI 開示:なし)
(東京科学大学歯学系倫理審査委員会承認番号 D2017-066)