講演情報
[P-023]終末期の口腔腫瘍を追体験する高齢患者の地域生活を支えた一症例
○吉野 夕香1、末永 智美2、會田 英紀3 (1. 北海道医療大学病院医療相談・地域連携室、2. 北海道医療大学在宅歯科診療所、3. 北海道医療大学歯学部生体機能・病態学系高齢者・有病者歯科学分野)
【緒言】 口腔がんは頭頸部がんの一部で,口腔に発生するがんの総称であり口の中の部位によって分類されるが,症例数は他部位に比し限定的な希少がんの一つである(国立がん研究センター)。当院での口腔腫瘍術後,自宅療養を経て再発し,終末期の口腔腫瘍を追体験した高齢患者の地域生活を医療ソーシャルワーカー(MSW)が介入して支援した経過を報告する。
【症例および経過】 患者A氏は70歳代女性,一次産業を主とする過疎地域で独居,認知症度自立,寝たきり度J2。X年Y月口腔内の腫瘤主訴に当院初診,検査経て扁平上皮癌の診断を得た。X年(Y+1)月切除術施行,術後リハビリ経てMSWが退院支援として介入,地域包括支援センター(地域C)と連携し要支援2の認定から介護保険サービスを整え,X年(Y+2)月退院した。X年(Y+3)月訪問看護からの訪問報告により当院受診し画像検査の結果,気管内に腫瘍性病変認め,B病院紹介となり切除術施行,永久気管孔造設となった。口腔腫瘍の再発に対し,同月当院に再入院,治療を経てX年(Y+5)月退院した。X年(Y+6)月治療目的で当院再入院,X年(Y+9)月自宅退院した。X年(Y+12)月患者は口腔内の強い疼痛と伴う不眠を訴え,画像検査にて再発と転移を認めた。患者家族は緩和ケアを早期に希望,面談にて患者と家族の意思決定に寄り添い確認した。本研究は倫理的配慮の説明を行い文書にて患者の同意を得た。
【考察】 初回退院時,患者は術後の外見変化や患部のケア,定期通院等負担感を抱きながらも在宅復帰を望んだが,独居で無歯科医地区かつ公的サービス環境が寡少な過疎地域での生活に家族が強く不安を訴え対立,退院調整は膠着状態となった。MSWの面談を経て患者と家族で希望は最終的に合致しているとわかり,制度利用を模索し地域Cとともに準備を進め,自宅退院した。面談過程で,A氏が配偶者を口腔腫瘍で看取っており,家族がA氏同様の口腔腫瘍患者への共通体験を持つことが明らかになった。口腔腫瘍の診断を受けた時から,A氏と家族はその追体験による恐怖と地域生活への不安を抱えていた。一方で家族全員がその影響により展開を予見しながら意思決定してきたことが推察された。MSW支援から患者家族の追体験への感情整理を経て,適切な社会資源を整備し地域生活を支えた症例と考える。(COI 開示:なし)(倫理審査対象外)
【症例および経過】 患者A氏は70歳代女性,一次産業を主とする過疎地域で独居,認知症度自立,寝たきり度J2。X年Y月口腔内の腫瘤主訴に当院初診,検査経て扁平上皮癌の診断を得た。X年(Y+1)月切除術施行,術後リハビリ経てMSWが退院支援として介入,地域包括支援センター(地域C)と連携し要支援2の認定から介護保険サービスを整え,X年(Y+2)月退院した。X年(Y+3)月訪問看護からの訪問報告により当院受診し画像検査の結果,気管内に腫瘍性病変認め,B病院紹介となり切除術施行,永久気管孔造設となった。口腔腫瘍の再発に対し,同月当院に再入院,治療を経てX年(Y+5)月退院した。X年(Y+6)月治療目的で当院再入院,X年(Y+9)月自宅退院した。X年(Y+12)月患者は口腔内の強い疼痛と伴う不眠を訴え,画像検査にて再発と転移を認めた。患者家族は緩和ケアを早期に希望,面談にて患者と家族の意思決定に寄り添い確認した。本研究は倫理的配慮の説明を行い文書にて患者の同意を得た。
【考察】 初回退院時,患者は術後の外見変化や患部のケア,定期通院等負担感を抱きながらも在宅復帰を望んだが,独居で無歯科医地区かつ公的サービス環境が寡少な過疎地域での生活に家族が強く不安を訴え対立,退院調整は膠着状態となった。MSWの面談を経て患者と家族で希望は最終的に合致しているとわかり,制度利用を模索し地域Cとともに準備を進め,自宅退院した。面談過程で,A氏が配偶者を口腔腫瘍で看取っており,家族がA氏同様の口腔腫瘍患者への共通体験を持つことが明らかになった。口腔腫瘍の診断を受けた時から,A氏と家族はその追体験による恐怖と地域生活への不安を抱えていた。一方で家族全員がその影響により展開を予見しながら意思決定してきたことが推察された。MSW支援から患者家族の追体験への感情整理を経て,適切な社会資源を整備し地域生活を支えた症例と考える。(COI 開示:なし)(倫理審査対象外)