講演情報

[P-033]栄養指導と口腔リハビリテーションが口腔機能,食品多様性,栄養状態に及ぼす影響

○永尾 寛1、奧 由里1、藤本 けい子1、水頭 英樹1、田上 義弘1、渡邉 恵1、後藤 崇晴1、岩脇 有軌1、松田 岳1、岸本 卓大1 (1. 徳島大学大学院 口腔顎顔面補綴学分野)
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【目的】
 高齢者の「栄養面のフレイル期」には,食べこぼし・むせ・噛めない食品の増加などのオーラルフレイルが関与している。適切な栄養指導と口腔リハビリテーションによって,口腔機能だけでなく食品多様性や栄養状態も改善されると考えられる。本研究では,栄養指導と口腔リハビリテーションの介入が口腔機能,食品多様性,栄養状態に及ぼす影響について調査,検討した。
【方法】
 対象は,2023年6月から2024年12月に徳島大学病院歯科外来をメンテナンス目的で受診した65歳以上の患者56名(男性21名,女性35名,平均年齢 78.1±6.5歳)とした。調査測定項目は,基本的調査として年齢,性別,基礎疾患,服薬状況を,口腔機能の測定では口腔機能精密検査を,食品多様性の測定として食品摂取多様性スコアと平井らの咀嚼スコアを,栄養状態の測定はBMI,MNA-SF,骨格筋指数(Inbody)を用いた。同日に,健康状態,栄養状態,食品多様性の結果を説明し栄養指導を行った。また,リハビリテーション指導として,口腔機能の測定結果の説明と本学口腔保健学科が作成したくっぽちゃん健口体操,ペコぱんだを用いたトレーニング,開口訓練を1日2回(朝食,夕食前)に行うよう指導した。3か月後に口腔機能,食品多様性,栄養状態を調査し,介入前の測定値と比較し,介入の有効性を検討した。
【結果と考察】
 栄養とリハビリテーション指導を行った結果,口腔機能では舌苔スコア,オーラルディアドコキネシス/Pa/,舌圧において機能の向上が認められた。また,食品多様性では,食品摂取多様性スコアが増加した。栄養状態においては有意な改善が認められなかった。舌苔スコアは,初回測定時に鏡を使って舌苔の付着状況と清掃方法を説明したことにより,3か月後に改善が認められたと考えられる。ペコぱんだトレーニングは健口体操と比較して短期間で効果が認められるトレーニングであると考えられた。また,被験者が日頃あまり意識していない食品多様性に焦点をあてて食生活の改善指導を行うことによって,食品多様性スコアが改善されたと思われる。一方,今回の被験者群では口腔機能が低下している被験者が少なく,短期間でのリハビリテーションによる効果が現れなかったと考えられる。
(COI 開示:なし)
(徳島大学病院生命科学・医学系研究倫理審査委員会承認番号 3457-2)