講演情報
[P-039]本年度の地域中核病院における口腔管理・食支援センター設立後統計調査
○天埜 皓太1、木村 将典1、佐藤 理加子1、多田 瑛1,2、水谷 早貴1,3、大塚 あつ子1、中尾 幸恵1、大塩 茉奈1、酒井 純1、谷口 裕重1、押村 憲昭1,4 (1. 朝日大学 摂食嚥下リハビリテーション学分野、2. 朝日大学歯学部 口腔外科学分野、3. 朝日大学歯学部 障害者歯科学分野、4. かすもりおしむら歯科・矯正歯科・口腔機能クリニック)
【目的】
当院は21の診療科,病床数381床の地域中核病院である。2020年4月より入院患者を対象とした摂食嚥下障害患者の検査・診断・リハビリテーションを中心とした臨床的介入を開始した。主な活動として歯科医師を中心とした多職種で構成される「口腔管理・食支援センター」を設立し,病院歯科として包括的な介入を行っている。今回,5年間の患者動向や介入の成果を検証するとともに今後の課題について考察する。
【方法】
当院にて2020年4月から2025年3月までの入院患者と外来受診患者において,当院他科からの嚥下機能評価依頼や他医院からの紹介患者を対象とした。診療録と当科データベースより新患総数,総介入数,紹介元,VE・VF検査数の統計調査を年度別に行った。
【結果と考察】
新患総数は初年度の144人から5年度183人(2024年12月時点)に増加している。介入数・VE件数・VF件数も同様に,初年度から3年度までの件数に比べ増加は認められるが,昨年度の同時期と比較するとやや減少傾向である。紹介元の件数は年度により異なるが,本年度は呼吸器内科と脳神経外科,消化器内科,腎臓内科からの紹介が多い結果となった。最も多い原疾患は呼吸器疾患であった。本年度の特徴として誤嚥性肺炎の入院患者全例に対して,病院全体のシステムとして入院した段階から,肺炎に対する治療は医科が,口腔衛生管理,食事の変更,ST等のリハビリオーダーなどの摂食嚥下リハビリテーションについては歯科が主となり診療にあたるようになったことがあげられる。そのため,新患数の約半数が誤嚥性肺炎を含む呼吸器疾患となっており,誤嚥性肺炎に対して新しく構築した診療体制が良好に機能しているものと考えられる。また,口腔衛生管理での介入件数が総介入数の約1/3となっており,誤嚥性肺炎患者による必要性が増加したことによるものと考えられる。SST(Swallowing Support Team)と口腔管理・食支援センターの院内外活動が周知されることで,口腔衛生管理の重要性も周知されてきている。口腔衛生管理や嚥下機能評価が,入院して早期の段階でアプローチできる体制が整ってきていると考えられ,外来からの紹介患者も年々増加していることからも,今後も多職種が密に連携して診療できるような体制を構築していきたい。(COI 開示:なし)(朝日大学病院倫理審査会承認番号2023-05-01)
当院は21の診療科,病床数381床の地域中核病院である。2020年4月より入院患者を対象とした摂食嚥下障害患者の検査・診断・リハビリテーションを中心とした臨床的介入を開始した。主な活動として歯科医師を中心とした多職種で構成される「口腔管理・食支援センター」を設立し,病院歯科として包括的な介入を行っている。今回,5年間の患者動向や介入の成果を検証するとともに今後の課題について考察する。
【方法】
当院にて2020年4月から2025年3月までの入院患者と外来受診患者において,当院他科からの嚥下機能評価依頼や他医院からの紹介患者を対象とした。診療録と当科データベースより新患総数,総介入数,紹介元,VE・VF検査数の統計調査を年度別に行った。
【結果と考察】
新患総数は初年度の144人から5年度183人(2024年12月時点)に増加している。介入数・VE件数・VF件数も同様に,初年度から3年度までの件数に比べ増加は認められるが,昨年度の同時期と比較するとやや減少傾向である。紹介元の件数は年度により異なるが,本年度は呼吸器内科と脳神経外科,消化器内科,腎臓内科からの紹介が多い結果となった。最も多い原疾患は呼吸器疾患であった。本年度の特徴として誤嚥性肺炎の入院患者全例に対して,病院全体のシステムとして入院した段階から,肺炎に対する治療は医科が,口腔衛生管理,食事の変更,ST等のリハビリオーダーなどの摂食嚥下リハビリテーションについては歯科が主となり診療にあたるようになったことがあげられる。そのため,新患数の約半数が誤嚥性肺炎を含む呼吸器疾患となっており,誤嚥性肺炎に対して新しく構築した診療体制が良好に機能しているものと考えられる。また,口腔衛生管理での介入件数が総介入数の約1/3となっており,誤嚥性肺炎患者による必要性が増加したことによるものと考えられる。SST(Swallowing Support Team)と口腔管理・食支援センターの院内外活動が周知されることで,口腔衛生管理の重要性も周知されてきている。口腔衛生管理や嚥下機能評価が,入院して早期の段階でアプローチできる体制が整ってきていると考えられ,外来からの紹介患者も年々増加していることからも,今後も多職種が密に連携して診療できるような体制を構築していきたい。(COI 開示:なし)(朝日大学病院倫理審査会承認番号2023-05-01)