講演情報
[P-063]多職種連携による骨髄炎への口腔衛生管理を続ける中で栄養状態の改善を認めた症例
○淺川 瑛子1,2,3、宮本 佳宏1、大塚 晴奈1,4、多賀 仁美1,5、森 由佳1、長谷川 澄代1,6 (1. 結デンタル、2. あい訪問歯科クリニック、3. 小笠原内科・岐阜在宅ケアクリニック、4. のだ歯科医院、5. 名古屋桜通デンタルクリニック、6. 名古屋医健スポーツ専門学校)
【緒言・目的】
緩和ケアを必要とする終末期患者は,様々な原因により経口摂取不良をきたし栄養障害を併発することは周知の事実である。今回,早期に歯科が介入し多職種連携を行い口腔衛生管理を継続することで,骨髄炎の感染がコントロールされ痛みが無くなり経口摂取量が増加,経口摂取のみで栄養状態が充足し栄養補助食品を中止に至った症例を経験したため報告する。
なお,本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。
【症例および経過】
94歳女性寝たきり度C2,歯肉癌の疑いで総合病院にて下顎骨辺縁切除術を施行。術後創部の痛みと入院中の新型コロナウイルス感染によるADL低下も併せて経口摂取が困難となり,栄養状態が低下(体重35.3㎏)し終末期と判断された。家族の希望により在宅療養に切り換えたが,創部感染を繰り返したため在宅療養支援診療所より訪問歯科に依頼があり介入。歯科初診時,創部の汚染が強かったことから超音波洗浄と抗生剤軟膏を注入し,口腔衛生管理を徹底した。またフェントスの副作用による,唾液分泌量減少からの口腔乾燥と強い傾眠からの嚥下障害を考え,麻薬の副作用による口腔状態への影響これからの方針についてICTにて多職種に共有し麻薬は中止となる。歯科衛生士が口腔衛生管理,言語聴覚士と家族に口腔清掃指導し,医師が栄養管理,訪問看護師が体重管理,理学療法士が歩行訓練とICTによる密接な多職種連携を行うことで徐々に痛みが軽快,ペースト食から一口大に食形態も上がり体重は退院時より7.3㎏増加。自立での排泄と歩行、デイサービス通所が可能になるまでADLが向上した。その後,一時入院になった際は病院看護師へ口腔衛生管理指導を実施。約2週間で早期退院で体力も保持され,現在は栄養状態が充足したことから栄養補助食品は中止,経口摂取のみで体重と栄養状態が維持され,好きな回転ずし等を食べ娘との旅行など楽しく在宅療養中である。
【考察】
今回,終末期患者が栄養状態の充足により栄養補助食品の中止に至ったのは, 早期に歯科が介入し多職種連携することで嚥下障害を来していた麻薬を終了し,創部の感染もコントロールされ疼痛が軽減されたことで,嚥下機能が維持改善され経口摂取量増加へ繋がったといえる。今後は多職種で訪問歯科の介入時期の検討をすることも重要であると考える。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)
緩和ケアを必要とする終末期患者は,様々な原因により経口摂取不良をきたし栄養障害を併発することは周知の事実である。今回,早期に歯科が介入し多職種連携を行い口腔衛生管理を継続することで,骨髄炎の感染がコントロールされ痛みが無くなり経口摂取量が増加,経口摂取のみで栄養状態が充足し栄養補助食品を中止に至った症例を経験したため報告する。
なお,本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。
【症例および経過】
94歳女性寝たきり度C2,歯肉癌の疑いで総合病院にて下顎骨辺縁切除術を施行。術後創部の痛みと入院中の新型コロナウイルス感染によるADL低下も併せて経口摂取が困難となり,栄養状態が低下(体重35.3㎏)し終末期と判断された。家族の希望により在宅療養に切り換えたが,創部感染を繰り返したため在宅療養支援診療所より訪問歯科に依頼があり介入。歯科初診時,創部の汚染が強かったことから超音波洗浄と抗生剤軟膏を注入し,口腔衛生管理を徹底した。またフェントスの副作用による,唾液分泌量減少からの口腔乾燥と強い傾眠からの嚥下障害を考え,麻薬の副作用による口腔状態への影響これからの方針についてICTにて多職種に共有し麻薬は中止となる。歯科衛生士が口腔衛生管理,言語聴覚士と家族に口腔清掃指導し,医師が栄養管理,訪問看護師が体重管理,理学療法士が歩行訓練とICTによる密接な多職種連携を行うことで徐々に痛みが軽快,ペースト食から一口大に食形態も上がり体重は退院時より7.3㎏増加。自立での排泄と歩行、デイサービス通所が可能になるまでADLが向上した。その後,一時入院になった際は病院看護師へ口腔衛生管理指導を実施。約2週間で早期退院で体力も保持され,現在は栄養状態が充足したことから栄養補助食品は中止,経口摂取のみで体重と栄養状態が維持され,好きな回転ずし等を食べ娘との旅行など楽しく在宅療養中である。
【考察】
今回,終末期患者が栄養状態の充足により栄養補助食品の中止に至ったのは, 早期に歯科が介入し多職種連携することで嚥下障害を来していた麻薬を終了し,創部の感染もコントロールされ疼痛が軽減されたことで,嚥下機能が維持改善され経口摂取量増加へ繋がったといえる。今後は多職種で訪問歯科の介入時期の検討をすることも重要であると考える。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)