講演情報

[P-069]居宅介護支援事業所における口腔・栄養スクリーニング加算の活用状況に関する調査

○本川 佳子1、白部 麻樹1、五味 達之祐1、岩崎 正則2、早川 美知1、渡邊 裕2、平野 浩彦1 (1. 東京都健康長寿医療センター研究所自立促進と精神保健研究チーム、2. 北海道大学大学院歯学研究院)
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【目的】令和3年度に新設された「口腔・栄養スクリーニング加算」は、通所系サービスの介護スタッフがスクリーニングを行い、それを介護支援専門員に共有することで、利用者の口腔機能向上や栄養改善を促進することを目的としている。本研究では、介護支援専門員が口腔・栄養スクリーニングに関する情報を受け取った後の実際の活用状況や課題を調査し、口腔・栄養サービスの質向上に資する方策の基礎資料を得ることを目的とした。
【方法】本研究は2023年に実施した郵送調査であり、対象事業所にはアンケート調査票を送付し、返送によって回収した。調査対象は、名簿を基に無作為に抽出した全国の居宅介護支援事業所1000件とした。調査内容は、口腔・栄養スクリーニング加算の活用状況(令和5年2月~7月実施分)、歯科・栄養の専門職との連携状況、ケアプラン作成時の課題等とした。調査の実施にあたり、東京都健康長寿医療センター研究所研究倫理審査委員会の承認を得た(承認番号:R21-25)。
【結果と考察】有効数963件に対し、回収率は35.9%(346件)であった。通所施設から利用者の口腔・栄養スクリーニング加算の書面を受け取った経験については、「はい」が57.8%であった。また、書面を受け取った平均件数は5.1±8.2件であり、書面をきっかけにつながったサービスについては「つながった事例はない」が50.5%と最も多く、次いで「通所施設での口腔機能向上加算」が29.6%であった。これらの結果から、口腔・栄養スクリーニング加算に関する情報を介護支援専門員が受け取った後に十分な口腔・栄養ケアにはつながっていない可能性が示された。一方で、ケアプラン作成時には「栄養に関する課題が挙がる」が92.8%、「歯・口腔機能の課題が挙がる」が90.5%と高い割合を示した。本調査より、通所事業所のみならず介護支援専門員への口腔・栄養スクリーニングの普及・啓発の必要性が示唆され、また歯科、栄養、介護支援専門員の連携強化が重要であると考えられた。
(COI 開示:なし)
(東京都健康長寿医療センター研究倫理委員会承認番号 R21-25)