講演情報
[P-071]「一歩踏み出せる!!歯科訪問診療ガイドブック」作成と今後の課題
○岡田 尚則1、和田 智仁1、大河 貴久1、水野 昭彦1、奥野 博喜1 (1. 京都府歯科医師会)
【目的】超高齢社会に伴い,通院困難な要介護高齢者や医療的ケア児への口腔健康管理や摂食嚥下リハビリテーションを含めた歯科的対応が地域で求められている現状に対応するうえで,歯科訪問診療を行う歯科医師の育成が大きな課題となっている。本会において在宅歯科医療における様々な人材育成事業を行ってきたが,そのなかでも歯科訪問診療を行っていない歯科医師に対する支援が重要であることから,このたび,京都府歯科医師会地域保健部では,「一歩踏み出せる!!歯科訪問診療ガイドブック」の作成を行い,これから歯科訪問診療を取り組むことを考えている歯科医師にも理解しやすいように,器具の準備,処置内容,保険請求,多職種連携まで幅広く解説したイラスト付きのガイドブックを作成した。今後のより良い事業展開ために,歯科訪問診療への見解について歯科医師を対象とした意識調査を行った。【方法】歯科訪問診療ガイドブックの配布を行い,無記名アンケートにご協力いただいた本会会員の歯科医師に対して意識調査を行った。【結果および考察】歯科訪問診療を導入する際に難しいと感じている項目として,医療・介護保険診療報酬請求に関することや事務作業が難しいと感じているが多数認められ,今後は事例を交えた資料の作成も必要と思われた。また,偶発症の対応が難しいと感じているも多数認められたことから,高齢者や医療的ケア児の心身の特性の項目に加えて,歯科治療時に起こり得る偶発症への対応についても,わかりやすく図表を追加したガイドブックの作成が求められていることも明確になり,今後,歯科訪問診療の啓発活動を円滑に行ううえで,従来の歯科対応にプラスした内容の実践的な資料作成の必要性を感じた。また,口腔機能低下症や摂食嚥下リハビリテーションについての情報提供をわかりやすく発信していくことも課題であり,歯科訪問診療に携わる人材育成を長期的に行う環境作りを構築していく必要があることが示唆された。(COI開示なし)(倫理審査対象外)