講演情報
[P-073]歯科に関する講義を受講した高齢者のフッ化物配合歯磨剤の使用状況に関する調査
○遠藤 眞美1、朝田 和夫2、呉 明憲2、野本 たかと1 (1. 日本大学松戸歯学部障害者歯科学講座、2. あさだ歯科口腔クリニック(東京都))
【目的】
2023年元旦に日本口腔衛生学会,日本小児歯科学会,日本歯科保存学会,日本老年歯科医学会による「4学会合同う蝕予防のためのフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」が公開され,その後,多くの国民に普及にむけて4月に普及版が改めて発表された。普及版は厚生労働省医政局歯科保健歯科口腔保健推進室から,各都道府県,保健所設置市,特別区の歯科口腔保健担当局に向けてそれらの内容の情報提供がなされている。令和4年度歯科疾患実態調査によると52%の国民がフッ化物配合歯磨剤を使用しているとされているが,高齢者の使用状況は不明である。昨年,歯科診療所受診高齢者の歯磨剤の使用状況を調査したところ,約9割が歯磨き剤を使用していたが推奨量使用者は約4割だった。また,歯の残存にフッ化物配合歯磨剤使用が寄与している可能性が推察され。そこで,今回は生涯学習で歯科に関する講義を受講した高齢者の集団に対して同様の調査を行ったので報告する。【方法】
対象は,2024年に柏シルバー大学院で歯科に関する講義に参加した高齢者とした。 方法は自記式質問紙調査とし,調査項目は年齢,性別,歯科の定期受診の有無,歯の欠損および補綴物の有無,1日の歯みがき回数,歯磨剤の使用状況と種類,歯磨剤使用時のフッ化物濃度および使用量などとした。
【結果と考察】
男性23人(平均77.6歳),女性37人(75.6歳)から回答を得た。定期歯科受診者は51人,自歯のみが24人,よくかめるが54人,食事は全員が普通食であった。1日の歯みがき回数は,3回以上が29人,2回が21人,1回が10人であった。歯みがき剤未使用が2人,練り歯みがき57人,ジェル状2人,液状4人であった。歯磨剤使用者59人のうち,高濃度フッ素配合を選択6人,濃度は不明だがフッ素入りを選択21人,フッ素入りかどうかは気にしていない25人,フッ素無配合を選択2人であった。現在の使用量は,1~2㎜が1人,5㎜程度が37人,1.5㎝以上が20人であったが,講義後に使用希望量は順に1人,11人,35人となった。 歯磨剤の使用割合は高かったものの,定期的な歯科受診をしているにも関わらずフッ素濃度や量について意識せずに使用していた。講義後には,推奨量使用を希望する割合が33%から57%に増加した。超高齢社会の多歯時代を迎えているわが国にとっては根面う蝕を含むう蝕予防は重要な課題といえ,そのためには様々な場で正しいフッ化物配合歯磨き剤の使用方法の啓発が重要と考えられた。
(COI開示:なし)
(日本大学松戸歯学部倫理審査委員会EC15-011)
2023年元旦に日本口腔衛生学会,日本小児歯科学会,日本歯科保存学会,日本老年歯科医学会による「4学会合同う蝕予防のためのフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」が公開され,その後,多くの国民に普及にむけて4月に普及版が改めて発表された。普及版は厚生労働省医政局歯科保健歯科口腔保健推進室から,各都道府県,保健所設置市,特別区の歯科口腔保健担当局に向けてそれらの内容の情報提供がなされている。令和4年度歯科疾患実態調査によると52%の国民がフッ化物配合歯磨剤を使用しているとされているが,高齢者の使用状況は不明である。昨年,歯科診療所受診高齢者の歯磨剤の使用状況を調査したところ,約9割が歯磨き剤を使用していたが推奨量使用者は約4割だった。また,歯の残存にフッ化物配合歯磨剤使用が寄与している可能性が推察され。そこで,今回は生涯学習で歯科に関する講義を受講した高齢者の集団に対して同様の調査を行ったので報告する。【方法】
対象は,2024年に柏シルバー大学院で歯科に関する講義に参加した高齢者とした。 方法は自記式質問紙調査とし,調査項目は年齢,性別,歯科の定期受診の有無,歯の欠損および補綴物の有無,1日の歯みがき回数,歯磨剤の使用状況と種類,歯磨剤使用時のフッ化物濃度および使用量などとした。
【結果と考察】
男性23人(平均77.6歳),女性37人(75.6歳)から回答を得た。定期歯科受診者は51人,自歯のみが24人,よくかめるが54人,食事は全員が普通食であった。1日の歯みがき回数は,3回以上が29人,2回が21人,1回が10人であった。歯みがき剤未使用が2人,練り歯みがき57人,ジェル状2人,液状4人であった。歯磨剤使用者59人のうち,高濃度フッ素配合を選択6人,濃度は不明だがフッ素入りを選択21人,フッ素入りかどうかは気にしていない25人,フッ素無配合を選択2人であった。現在の使用量は,1~2㎜が1人,5㎜程度が37人,1.5㎝以上が20人であったが,講義後に使用希望量は順に1人,11人,35人となった。 歯磨剤の使用割合は高かったものの,定期的な歯科受診をしているにも関わらずフッ素濃度や量について意識せずに使用していた。講義後には,推奨量使用を希望する割合が33%から57%に増加した。超高齢社会の多歯時代を迎えているわが国にとっては根面う蝕を含むう蝕予防は重要な課題といえ,そのためには様々な場で正しいフッ化物配合歯磨き剤の使用方法の啓発が重要と考えられた。
(COI開示:なし)
(日本大学松戸歯学部倫理審査委員会EC15-011)