講演情報

[P-077]「【OF-5 準拠】オーラルフレイルチェック」の開発(第1報)

○新家 信行1、齊藤 朋愛1、畑 陽子1、城戸 雅和1 (1. 福井県坂井地区歯科医師会)
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【目的】
 今回我々は,OF-5を多面的補完する「【OF-5準拠】オーラルフレイルチェック」(以下,OF-5準拠チェック)を開発した。OF-5準拠チェックは,質問項目をOF-5の質問5項目に加えて20項目とし,各質問項目が包含するオーラルフレイル(以下,OF)起因要素数からスコア化して解析する。OFの有無,重症度,発現率,予防改善目標を表示し,疾患としての口腔機能低下症の可能性も呈示する仕様である。本報告では歯科医院受診者においてその有効性,およびOF-5との整合性を明らかにする。
【方法】
 福井県坂井地区歯科医師会員の診療所を受診した高齢患者568人(男性209人,女性359人,平均年齢70.2±9.6歳)を対象としてOF-5準拠チェックを実施した。 OF発現の起因要素として嚥下,口腔筋,咀嚼,滑舌,唾液腺,口腔清掃,食事,疾患,交流・意欲の9項目を設定した。20の質問ごとにどの起因要素(複数)が関与するかを算出し,合計から百分率を求めOF発現率(以下,発現率)とした。同様に,口腔機能低下症の検査項目に準じた7つの評価項目を設定し,各質問から示される低下項目を抽出・計算する。この低下項目数と発現率から被験者を非該当,非該当(リスク有), 該当(軽度),該当(中程度),該当(重度)の5群に分けてOFの該当率を評価した(カイ二乗検定)。残存歯数低下に関する質問は被検者の誤認による過誤が生じやすく,事後に口腔内審査結果と照合し正答率を算出し検討した。
【結果と考察】
 OFの該当率はOF-5とOF-5準拠チェックの該当者数について有意差は見られず,年代分布,男女間差異も同様で,両評価には基本的な差異が無いものと考えられた。1つ以上の質問にチェックをいれた非該当者では,OF-5準拠版が有意(P<0.01)に多く,早期のOF徴候把握に有効と思われた。口腔機能低下症の可能性が指摘された者は10%未満と少ないが,発現率と低下項目数に有意な相関(R2=0.7)が見られることから,発現率が口腔機能低下症の指標となる可能性が考えられた。また,残存歯数の正答率は80%前後であったが,OF-5準拠チェックで過誤修正を行い比較すると該当率に有意な差は見られず,過誤回答の影響は少ないと思われた。
( COI 開示:なし)
(坂井地区歯科医師会 倫理審査委員会承認番号 2024-1)