講演情報

[P-081]高齢者に対するオンライン診療、医療MaaSの歯科運用の取り組み-Toba Online Dental Check-up Project on MaaS-(第1報)

○寺本 祐二1、小泉 圭吾2 (1. 寺本歯科医院、2. 神島診療所)
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【目的】過疎地域における医療の充実は喫緊の課題であるが、特に高齢者では病院や診療所への移動が大きな課題となっている。この問題解決に向けて、オンライン診療とオンライン服薬指導を行えるオンライン診療室の設置や、オンライン診療と移送を提供できる医療MaaS(Mobility as a Service)の導入が医療DX(Digital Transformation)として行われている。そこで今回我々は、高齢者に対するオンライン診療、医療MaaSの歯科運用について実現に向けて取り組みを行ったのでその概要を報告する。【方法】厚生労働省策定の歯科におけるオンライン診療の適切な実施に関する指針に準じて立案し、鳥羽市が行っている歯周歯科検診事業(地域歯周疾患指数)をオンラインで、さらに医療MaaSを使用して施行可能かどうかのドライランを施行した。従来の歯科医院来院型歯周歯科検診事業で参加している5か所の歯科医院に参加協力が得られた。同一医院の歯科医師ならびに歯科衛生士のペアで、歯科衛生士がMaaSに同乗して車内で歯周検査を行い歯科医師は自院にてオンラインによる歯科検診が可能か検証した。ドライラン終了後、参加した歯科医師、歯科衛生士にそれぞれにアンケート調査を実施した。【結果と考察】鳥羽市(人口16,432人)は有床の市民病院と保健所がなく、行政歯科医師や行政歯科衛生士もいない。無歯科医地区もあり、医療資源が乏しい地域での充実した地域包括ケアシステムが求められている。現在、全国で21か所の自治体で運用されている医療MaaSを鳥羽市ではさらに医科歯科連携として、また官民連携として歯科運用「Toba Online Dental Check-up Project on MaaS」を計画した。医療MaaSについて歯科運用をしている地域は我々が渉猟しえた範囲では報告がない。今回はあくまでも鳥羽市独自の歯科検診としてのドライランであり法定歯科検診として実施するには歯科医師が実施するとの明記がされている。今後の実施課題として、県保健所への届け出手続きならびに法定歯科検診ではない自治体独自の歯科検診として検討していく必要がある。事業化すれば将来的には現在検討が進められている国民皆歯科健診のひとつのモデルケースになると推察している。さらにオンラインによる歯周歯科検診が可能となれば口腔機能低下症に対するオーラルフレイルの検診事業にも繋がる。今回我々は過疎地域における医療資源が乏しくICTの活用で問題解決が可能か、その概要とドライランを臨床研究として報告する。(COI開示:なし)(倫理審査対象外)