講演情報

[P-083]多施設横断研究による口腔機能低下症の検査結果とフレイルの自覚症状ならびに口腔関連QOLとの関係

○村上 格1、伊東 隆利2,7、森永 大作3,7、竹下 文隆4,7、堀川 正5,7、加来 敏男6,7 (1. 鹿児島大学病院 義歯インプラント科、2. 伊東歯科口腔病院、3. 森永歯科クリニック、4. たけした歯科、5. 堀川歯科診療所、6. 加来歯科、7. 九州インプラント研究会)
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【目的】
 口腔機能障害の前段階である口腔機能低下症の段階では,口腔機能や口腔関連QOLの低下は見逃される可能性がある.本研究の目的は,多施設横断により外来受診患者における口腔機能低下症の検査結果,フレイルの自覚症状ならびに口腔関連QoLの関係を検討することである.
【方法】
 本研究は,研究参加の同意を得たメインテナンス中の患者のうち50歳以上の患者637人を対象に行った.患者の基本特性(性別,年齢,身長,体重,体格指数,握力,既往歴,口腔内の状態)を調査し,口腔機能低下症の検査を行った.フレイルの自覚症状は,質問票を用い,身体的フレイルに関連する5項目とオーラルフレイルに関連する7項目についてそれぞれ4段階で評価し,身体的フレイルに関する項目,オーラルフレイルに関する項目ならびに総計に分けて分析を行った.口腔関連QOLは,OHIP-JP16スコアの総計とOHIPの質問項目を4つのディメンジョンに分類し,評価するOHRQOLディメンジョンスコア (口腔機能, 痛み, 審美性, 心理社会的影響)を使用して評価した.統計解析には,χ2検定,Mann-WhitneyのU検定,Kruskal-Wallis の検定,Spearman の順位相関係数ならびにロジスティック回帰分析を用いた.有意水準は5%とした.
【結果と考察】
 口腔機能低下症の有病率は37.8%で男女間に有意差は認められなかった.しかし,口腔機能低下症の有病率は年齢層間で有意に異なり,年齢とともに増加した.口腔機能低下症群では健常群と比較し,フレイルの自覚症状スコア,OHIP-JP16スコアならびにOHRQOLディメンジョンスコアは有意に高かった.多変量解析の結果,口腔機能低下症は,年齢,基礎疾患数,フレイルの自覚症状のスコア,OHIP-JP16スコア,OHRQOLディメンジョンスコアと有意に関連した.以上の結果より,口腔機能低下症は,高齢者のフレイルの自覚症状と口腔関連QOLに影響を及ぼすことが示唆された.
(利益相反なし)(COI開示:なし)
(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科疫学研究等倫理委員会承認番号190224疫)