講演情報
[P-089]変形性股関節症患者における口腔機能と身体機能の関連
○本釜 聖子1、武田 紗季1、木下 智文2 (1. 愛媛大学医学部附属病院歯科口腔外科・矯正歯科、2. 愛媛大学大学院医学系研究科整形外科)
【目的】
近年,口腔機能とフレイルとの様々な関連が報告がされている。一方,変形性関節症は,身体的フレイルの原因の1つであり,「動く」能力が衰え,進行すると介護が必要な状態となり,QOLを著しく低下させる。本研究の目的は,愛媛大学医学部附属病院にて人工股関節置換術を予定している患者の口腔機能と身体機能の関連を明らかにすることである。
【方法】
当院整形外科を2023年8 月から2024 年11 月までの間に受診した患者で,人工股関節置換術を予定している成人(男性 36 人,女性 132 人,平均年齢66.2±11.2歳)を対象とした。身体機能測定項目は,BMI,握力,SMI,開眼片脚起立時間,3m timed up-and-goテスト(TUG),日常生活自立度評価,2ステップテストとした。口腔不潔は,視診による舌苔スコア,口腔乾燥は口腔水分計ムーカスによる口腔湿潤度,咬合力は残存歯数,舌口唇運動機能はオーラルディアドコキネシス,低舌圧は最大舌圧,咀嚼機能はグミゼリーを用いたグルコース溶出量,嚥下機能はEAT-10とし,口腔機能と身体機能の関連性について検討した。
【結果と考察】
口腔機能低下症は27.4 %に認めた。運動器不安定症は,日常生活自立度ならびに,運動機能が開眼片脚起立時間15秒未満またはTUG11秒以上を該当としたところ,57.1%に認めた。口腔機能低下症が運動器不安定症,SMI低下,握力低下,BMI低下,2ステップテストに関連するかロジスティック回帰モデルを用いて評価したところ,口腔機能低下症は,運動器不安定症(p=0.032)と握力低下(p=0.046)に対して関連を認めた。さらに,運動器不安定症と握力低下に対し、口腔機能各項目との関連を検討したところ,運動器不安定症に対しては舌口唇運動機能/pa/(p=0.003),/ka/(p=0.008)が,握力低下に対しては舌口唇運動機能/ta/(p=0.046)と残存歯数(p=0.001)が統計学的に有意な関連を認めた。本研究の結果より,変形性股関節症患者において,運動器不安定症,握力低下に対して口腔機能低下症との間に関連を示した。今後は被験者数を増やし,口腔機能と身体機能との詳細な関連性を見出すことができるよう検討を行っていく予定である。
(COI開示:なし)(愛媛大学 倫理審査委員会承認番号 2110014号)
近年,口腔機能とフレイルとの様々な関連が報告がされている。一方,変形性関節症は,身体的フレイルの原因の1つであり,「動く」能力が衰え,進行すると介護が必要な状態となり,QOLを著しく低下させる。本研究の目的は,愛媛大学医学部附属病院にて人工股関節置換術を予定している患者の口腔機能と身体機能の関連を明らかにすることである。
【方法】
当院整形外科を2023年8 月から2024 年11 月までの間に受診した患者で,人工股関節置換術を予定している成人(男性 36 人,女性 132 人,平均年齢66.2±11.2歳)を対象とした。身体機能測定項目は,BMI,握力,SMI,開眼片脚起立時間,3m timed up-and-goテスト(TUG),日常生活自立度評価,2ステップテストとした。口腔不潔は,視診による舌苔スコア,口腔乾燥は口腔水分計ムーカスによる口腔湿潤度,咬合力は残存歯数,舌口唇運動機能はオーラルディアドコキネシス,低舌圧は最大舌圧,咀嚼機能はグミゼリーを用いたグルコース溶出量,嚥下機能はEAT-10とし,口腔機能と身体機能の関連性について検討した。
【結果と考察】
口腔機能低下症は27.4 %に認めた。運動器不安定症は,日常生活自立度ならびに,運動機能が開眼片脚起立時間15秒未満またはTUG11秒以上を該当としたところ,57.1%に認めた。口腔機能低下症が運動器不安定症,SMI低下,握力低下,BMI低下,2ステップテストに関連するかロジスティック回帰モデルを用いて評価したところ,口腔機能低下症は,運動器不安定症(p=0.032)と握力低下(p=0.046)に対して関連を認めた。さらに,運動器不安定症と握力低下に対し、口腔機能各項目との関連を検討したところ,運動器不安定症に対しては舌口唇運動機能/pa/(p=0.003),/ka/(p=0.008)が,握力低下に対しては舌口唇運動機能/ta/(p=0.046)と残存歯数(p=0.001)が統計学的に有意な関連を認めた。本研究の結果より,変形性股関節症患者において,運動器不安定症,握力低下に対して口腔機能低下症との間に関連を示した。今後は被験者数を増やし,口腔機能と身体機能との詳細な関連性を見出すことができるよう検討を行っていく予定である。
(COI開示:なし)(愛媛大学 倫理審査委員会承認番号 2110014号)