講演情報
[P-091]歯科訪問診療により口腔健康管理を行っている要介護高齢者の口腔状態に口腔乾燥が与える影響
○平塚 正雄1,2、高峯 博紀2,3、秋山 悠一3、稲冨 みぎわ3、岩田 美由紀1、加藤 喜久1、赤木 郁生2、庄島 慶一1、氷室 秀高2 (1. 医療法人社団秀和会 小倉北歯科医院、2. 医療法人社団秀和会 小倉南歯科医院、3. 医療法人社団秀和会 水巻歯科診療所)
【目的】口腔健康管理を行っている要介護高齢者では口腔衛生状態が改善しない症例もある。特に口腔乾燥を認める症例では口腔衛生状態の指標になる舌苔付着量が改善しない傾向にある。今回,口腔湿潤度により口腔乾燥状態を評価し,口腔乾燥の程度が歯科訪問診療により口腔健康管理を受けている要介護高齢者の口腔状態に影響するのかを明らかにする目的で調査した。【方法】対象は歯科訪問診療により4回/月の口腔健康管理を受けている施設入所者で3食経口摂取している要介護高齢者72名(男性36名,平均年齢83.6±9.0歳)とした。調査項目は年齢,性別,Barthel Index,Body Mass Index(BMI),Functional Oral Intake Scale(FOIS),口腔湿潤度,Tongue Coating Index(TCI),口腔細菌数およびOral Health Assessment Tool(OHAT)とした。口腔湿潤度は口腔水分計ムーカスR(ライフ社製),口腔細菌数は口腔細菌カウンタR(パナソニック社製)を用いて測定した。口腔湿潤度により口腔乾燥〔-〕群,口腔乾燥〔+〕群および口腔乾燥〔2+〕群の3群に分類した。口腔細菌数は1~7の細菌数レベルでスコア化した。分析は各調査項目を3群に分類して比較検討した。検定方法はKruskal-Wallis test,一元配置分散分析により解析し,有意差が認められた場合には多重比較検定を用いて解析した。有意水準は5%未満とした。本研究は当法人倫理審査委員会の承認を得て行った。【結果と考察】3群比較において(口腔乾燥〔-〕群VS口腔乾燥〔+〕群VS口腔乾燥〔2+〕群),口腔細菌数レベル(中央値:5VS5VS4)とTCI(平均値:44.4% VS 47.2% VS 50.0%)にそれぞれ有意差は認められなかった。OHAT合計では口腔乾燥〔2+〕群が(中央値:5)が口腔乾燥〔-〕群(中央値:3)より有意に高い値を示したが(p<0.05),OHAT下位項目の残存歯と歯痛が影響していた。調査結果より,歯科訪問診療による口腔健康管理では口腔湿潤度を測定して口腔乾燥状態を評価し,適切な口腔衛生管理を行えば口腔乾燥の影響は少ないと考えられた。(COI開示:なし)(医療法人社団秀和会倫理委員会承認番号:2502)