講演情報
[P-099]地域在住高齢者におけるオーラルフレイルの新規該当に関連する要因:コホート研究
○七島 慧一郎1、入江 浩一郎2、Altanbagana Nandin Uchral1、相田 潤3、山本 龍生1 (1. 神奈川歯科大学歯学部社会歯科学系社会歯科学講座口腔衛生学分野、2. 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科口腔保健学分野、3. 東京科学大学大学院医歯学総合研究科歯科公衆衛生学分野)
【目的】
オーラルフレイル(OF)に関連する要因として,年齢,性別,教育歴などが報告されている。しかし,ほとんどが横断研究から得られた結果であり,因果関係を述べることができない。そこで本研究では,日本老年学的評価研究の2時点パネルデータを用いて,ベースライン時にOF非該当の者を対象として,3年後にOF該当になったか否かに関連する要因を明らかにすることを目的とした。
【方法】
日本老年学的評価研究が2019年度と2022年度に65歳以上の者を対象として実施した自記式質問紙調査のデータを用いた。2019年度と2022年度の質問紙調査に回答し,日常生活自立度が全自立であってOFではない43,052名(72.1±5.0歳,男性46.9%)を分析対象とした。OFの有無は,年齢,歯数,「半年前に比べて固いものが食べにくくなった」,「お茶や汁物などでむせることがある」の4つの質問への回答から推計した(Yamamotoら,2022)。OF新規該当の有無と性別,年齢,婚姻状況,教育歴,等価所得,治療中の疾患の有無,友人と会う頻度,社会的結束,社会参加,互酬性の規範,および自治体の都市度との関連をクロス集計で検討後,二項ロジスティック回帰分析を用いて検討した。
【結果と考察】
OF新規該当者の割合は22.6%であった。クロス集計の結果,性別,年齢,婚姻状況,教育歴,等価所得,治療中の疾患の有無,友人と会う頻度,社会的結束,社会参加とOF新規該当との間に有意な関連を認めた。二項ロジスティック回帰分析の結果,男性(オッズ比[OR]=1.13),70-74歳(OR=2.60),75-79歳(OR=3.07),80-84歳(OR=3.27),85歳以上(OR=3.94),死別・離別・未婚(基準:配偶者あり,OR=1.08),教育年数9年以下(OR=1.32),等価所得0-199万円(OR=1.20),治療中の疾患あり(OR=1.12),社会的結束なし(OR=1.21),社会参加なし(OR=1.08),準都市部(OR=1.15),農村部(OR=1.36)において有意な関連を認めた。本研究の結果,効率的,効果的にOF予防をするためには,男性,高齢,配偶者なし,少ない教育年数,低い等価所得,治療中の疾患ありといった人々を対象とすること,社会的結束や社会参加を促すような施策を展開すること,そして人口密度の低い農村部での対策を強化することが重要であることが示唆された。
(COI 開示:なし)
(神奈川歯科大学 倫理審査委員会承認番号 1029)
オーラルフレイル(OF)に関連する要因として,年齢,性別,教育歴などが報告されている。しかし,ほとんどが横断研究から得られた結果であり,因果関係を述べることができない。そこで本研究では,日本老年学的評価研究の2時点パネルデータを用いて,ベースライン時にOF非該当の者を対象として,3年後にOF該当になったか否かに関連する要因を明らかにすることを目的とした。
【方法】
日本老年学的評価研究が2019年度と2022年度に65歳以上の者を対象として実施した自記式質問紙調査のデータを用いた。2019年度と2022年度の質問紙調査に回答し,日常生活自立度が全自立であってOFではない43,052名(72.1±5.0歳,男性46.9%)を分析対象とした。OFの有無は,年齢,歯数,「半年前に比べて固いものが食べにくくなった」,「お茶や汁物などでむせることがある」の4つの質問への回答から推計した(Yamamotoら,2022)。OF新規該当の有無と性別,年齢,婚姻状況,教育歴,等価所得,治療中の疾患の有無,友人と会う頻度,社会的結束,社会参加,互酬性の規範,および自治体の都市度との関連をクロス集計で検討後,二項ロジスティック回帰分析を用いて検討した。
【結果と考察】
OF新規該当者の割合は22.6%であった。クロス集計の結果,性別,年齢,婚姻状況,教育歴,等価所得,治療中の疾患の有無,友人と会う頻度,社会的結束,社会参加とOF新規該当との間に有意な関連を認めた。二項ロジスティック回帰分析の結果,男性(オッズ比[OR]=1.13),70-74歳(OR=2.60),75-79歳(OR=3.07),80-84歳(OR=3.27),85歳以上(OR=3.94),死別・離別・未婚(基準:配偶者あり,OR=1.08),教育年数9年以下(OR=1.32),等価所得0-199万円(OR=1.20),治療中の疾患あり(OR=1.12),社会的結束なし(OR=1.21),社会参加なし(OR=1.08),準都市部(OR=1.15),農村部(OR=1.36)において有意な関連を認めた。本研究の結果,効率的,効果的にOF予防をするためには,男性,高齢,配偶者なし,少ない教育年数,低い等価所得,治療中の疾患ありといった人々を対象とすること,社会的結束や社会参加を促すような施策を展開すること,そして人口密度の低い農村部での対策を強化することが重要であることが示唆された。
(COI 開示:なし)
(神奈川歯科大学 倫理審査委員会承認番号 1029)