講演情報
[P-105]急性期病院に入院する心不全患者のオーラルフレイル調査
○室田 弘二1、馬場 めぐみ1、松原 利江子1、橋本 みゆき2、寺尾 導子2、酒井 博司3 (1. 医療法人臨生会 名寄歯科医院、2. 医療法人臨生会 吉田歯科分院、3. 名寄市立総合病院)
【目的】
急性期病院に入院する「うっ血性心不全」患者の口腔状態を知るため,オーラルフレイルとFunctional Tooth Units(FTU:機能歯ユニット)について調査したので報告する。
【方法】
名寄市立総合病院の循環器内科にて2024年6月から11月までの期間に入院した375人のうち,主病名がうっ血性心不全(80人)で,MMSEが23点以下と介護認定を受けている者,再入院を除き,協力の得られた27人(男性17人,女性10人,42歳~90歳:平均年齢74.1歳)を対象とした。2024年4月に公表された「オーラルフレイルに関する3学会合同ステートメント」にあるチェック項目(OF-5)で評価した。「半年前と比べて固いものが食べにくい」「お茶や汁物等でむせる」「口の渇きが気になる」を問診し,2択(はい/いいえ)で回答した。滑舌の評価は,タ音を5秒間可能な限り早く発音するよう教示し,専用カウンターを用いて1秒間での発音数を算出した。歯数は,残根歯を除外した残存歯数の総和とし,義歯の使用状況やFTUを直接確認した。調査は全て歯科医師または本学会の認定歯科衛生士が行った。
【結果と考察】
口腔乾燥感の該当者は74.1%であり,嚥下困難感は37.0%,咀嚼困難感は33.3%だった。口腔乾燥感については,水分制限や利尿剤など治療薬の影響,入院という心理的要因が考えられた。タ音1秒当たりの発音数が6.0回/秒未満の滑舌低下に該当する者は66.7%であり,残存歯数が20歯未満の者は74.1%だった。これらが2つ以上該当するオーラルフレイルは96.3%(26/27人)だった。
義歯を使用している者は59.3%だった。義歯を使用していない,もしくは使用していても不適切だった者を含めたtotal-FTUが10未満だった者は40.7%(11人)であった。このtotal-FTUが10未満の群の中で,滑舌低下だった者は81.8%(9/11人)だった。これに対し,total-FTUが10以上の群では56.2%(9/16人)であった。
急性期病院に入院する心不全患者はオーラルフレイルに該当する者が多く,残存歯数が20歯未満の者が多かった。また,臼歯部の咬合が安定していない者の方が,より口腔機能が低下していることが示唆された。
(COI開示:なし)(名寄市立総合病院 倫理審査委員会 承認番号 2024-28号)
急性期病院に入院する「うっ血性心不全」患者の口腔状態を知るため,オーラルフレイルとFunctional Tooth Units(FTU:機能歯ユニット)について調査したので報告する。
【方法】
名寄市立総合病院の循環器内科にて2024年6月から11月までの期間に入院した375人のうち,主病名がうっ血性心不全(80人)で,MMSEが23点以下と介護認定を受けている者,再入院を除き,協力の得られた27人(男性17人,女性10人,42歳~90歳:平均年齢74.1歳)を対象とした。2024年4月に公表された「オーラルフレイルに関する3学会合同ステートメント」にあるチェック項目(OF-5)で評価した。「半年前と比べて固いものが食べにくい」「お茶や汁物等でむせる」「口の渇きが気になる」を問診し,2択(はい/いいえ)で回答した。滑舌の評価は,タ音を5秒間可能な限り早く発音するよう教示し,専用カウンターを用いて1秒間での発音数を算出した。歯数は,残根歯を除外した残存歯数の総和とし,義歯の使用状況やFTUを直接確認した。調査は全て歯科医師または本学会の認定歯科衛生士が行った。
【結果と考察】
口腔乾燥感の該当者は74.1%であり,嚥下困難感は37.0%,咀嚼困難感は33.3%だった。口腔乾燥感については,水分制限や利尿剤など治療薬の影響,入院という心理的要因が考えられた。タ音1秒当たりの発音数が6.0回/秒未満の滑舌低下に該当する者は66.7%であり,残存歯数が20歯未満の者は74.1%だった。これらが2つ以上該当するオーラルフレイルは96.3%(26/27人)だった。
義歯を使用している者は59.3%だった。義歯を使用していない,もしくは使用していても不適切だった者を含めたtotal-FTUが10未満だった者は40.7%(11人)であった。このtotal-FTUが10未満の群の中で,滑舌低下だった者は81.8%(9/11人)だった。これに対し,total-FTUが10以上の群では56.2%(9/16人)であった。
急性期病院に入院する心不全患者はオーラルフレイルに該当する者が多く,残存歯数が20歯未満の者が多かった。また,臼歯部の咬合が安定していない者の方が,より口腔機能が低下していることが示唆された。
(COI開示:なし)(名寄市立総合病院 倫理審査委員会 承認番号 2024-28号)