講演情報

[P-107]8週間の「ブクブクうがい運動」による口腔機能改善プログラムの効果

○村永 香織1、辻?? 大士1 (1. 筑波大学大学院 人間総合科学学術院)
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【目的】
 口唇閉鎖力は加齢とともに低下することが知られている。口腔機能の一つである口唇閉鎖力が「ブクブクうがい運動」で改善するか,その効果を都内在住の高齢者においてクロスオーバー試験で検討した。
【方法】
 対象は,都内在住の65歳以上の地域在住高齢者36名(男性2名,女性34名,平均年齢77.3±7.2歳)と高齢者施設入所者35名(男性3名,女性32名,平均年齢89.6±7.9歳)であった。介入プログラムは1回1分のブクブクうがい運動を1日2回,8週間行うこととし,対照群は運動なしとした。研究デザインは,4週間のWash-out期間を挟んで介入群と対照群を入れ替えるクロスオーバーデザインとし,2024年 5月から10月にかけて実施した。ベースライン測定から4週間ごとに口唇閉鎖力を口唇閉鎖力測定器「りっぷるくん」(松風社製)を用いて測定し,その変化について,介入群によるシークエンスの違い,介入時期の違い,介入と対照の違いを混合効果モデルで検討した。
【結果と考察】
 地域在住高齢者の口唇閉鎖力は,介入における変化量が+6.2(N),対照は+0.9(N)であった。混合効果モデルにおける介入の主効果の検討の結果,有意な向上を認めた(p<0.001)。高齢者施設入所者の口唇閉鎖力は,介入における変化量が+4.3(N),対照は+1.2(N)で,介入は対照に比べて有意に口唇閉鎖力が向上した(p<0.001)。本結果より,8週間の「ブクブクうがい運動」により高齢者の口唇閉鎖力が向上することが示唆された。 本プログラムは,高齢者のオーラルフレイルや口腔機能低下症の改善に寄与し,簡便で広く普及できる可能性がある。
( COI 開示:なし)
(筑波大学 体育系倫理研究委員会承認番号 体023-154 )