講演情報

[P-109]フレイル予防講座カムカム教室お口元気プラスがオーラルケア習慣やオーラルフレイルの不安意識に与える影響

○池田 健太郎1、田子森 順子1,2、佐藤 麻美2,3、溝口 奈菜1、楠本 奈央1、永谷 美幸1、前田 真理子1、田中 友規2,4、飯島 勝矢2,4 (1. サンスター株式会社、2. 東京大学 高齢社会総合研究機構、3. 神奈川県平塚市役所、4. 東京大学 未来ビジョン研究センター)
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【目的】
 神奈川県平塚市では産官学民協働によるオーラルフレイル(以下,OF)予防の取組が実施されている。本研究の目的は,多面的なOF予防啓発を実施した特定地域住民において,オーラルケア(以下,OC)に重点をおいた体験型の講座に参加することが,地域住民のOC習慣やOFに対する不安軽減に対して有用であるかを明らかにすることである。
【方法】
 2023年2月から9月にかけて平塚市内特定地域において実施したOF予防の地域啓発の一環として,OFを軸とした住民主体のフレイル予防講座「カムカム教室」に,OC製品の使用体験を取り入れるなどOCに重点をおいた「カムカム教室お口元気プラス」(以下,お口元気教室)を複数回開催した。
 平塚市内特定地域に在住の65歳以上の自立高齢者のうち,啓発期間前後の自記式質問票調査の回答者を対象として,啓発期間前後でのOC習慣及びOFに対する不安意識の変化をお口元気教室への参加有無で比較した。統計処理には主に性別と年齢を調整因子としたロジスティック回帰分析を用い,有意確率は5%未満をもって有意とした。
【結果と考察】
 解析対象者801名(平均74.6±6.4歳,女性51.6%)のうちお口元気教室の参加者は38名(平均77.5±7.3歳,女性81.6%)であった。お口元気教室の参加者は非参加者と比較して,参加前後で液体製剤(液体ハミガキ・洗口液など)の使用頻度が上昇した者が有意に多かった(オッズ比[95%CI]=2.86 [1.00-8.15])。また,自分が既にOFなのではないかという「現状不安」,将来的にOFになるのではないかという「先行き不安」がともに解消された者が多い傾向が見られた(各々オッズ比[95%CI]=3.31 [1.16-9.44],オッズ比[95%CI]=2.50 [0.87-7.22])。
 本結果より,OC製品の使用体験等を含むフレイル予防講座への参加により,OCの実施頻度が向上し,OFの認識やその予防への理解が深まったことでOFに対する不安が解消された可能性がある。産官学民協働による地域全体へのOF予防啓発と併せ,お口元気教室のような体験型の啓発機会の提供が,OF予防にはより有用であると考えられる。
(COI 開示:サンスター株式会社,他1社)
(東京大学 倫理審査委員会承認番号 22-447)