講演情報
[P-111]オーラルフレイル新5項目(OF-5)で評価したオーラルフレイルと口腔衛生行動との関連:柏スタディ
○溝口 奈菜1、永谷 美幸1、田子森 順子1,2、池田 健太郎1、前田 真理子1、田中 友規2,3、飯島 勝矢2,3 (1. サンスター株式会社、2. 東京大学高齢社会総合研究機構、3. 東京大学未来ビジョン研究センター)
【目的】
口腔機能の軽微な衰えが重複した状態であるオーラルフレイル(OF)が要介護・死亡リスクを高めることが報告され,未然に防ぐ対策が求められている。昨年歯科専門職が不在でもOFの評価が可能なOral frailty Five-item Checklist(OF-5)が発表されたが,発症・重症化予防のための具体的な指導内容はまだ検討されていない。歯科専門職以外でも指導可能な「定期的な歯科受診の推奨」や「セルフケアの項目・頻度」等の口腔衛生行動の意義が明らかになれば,より広域での早期発見とオーラルケア促進による予防・対策が可能となる。本研究ではOF-5で評価したOFと口腔衛生行動との関連を横断的に検証した。
【方法】
対象は千葉県柏市在住65歳以上に対するコホート研究(柏スタディ)の参加者とし2021年度調査に参加かつ使用変数に欠損値のない者とした。OFはOF-5質問票にて評価し,2項目以上該当の場合とした。口腔衛生行動は自己記入式質問表より年間の歯科受診回数,1日の歯磨き回数,歯間ブラシの使用状況を評価し,調整変数は年齢,性別,認知機能(MMSE)とした。統計解析はSPSS ver.29(IBM社),2項ロジスティック回帰分析を主に用いた(有意水準5%未満で有意)
【結果と考察】
対象者1,411名(平均年齢75.8歳±6.22)のうちOF該当者は426名(30.2%)。非該当者985名(69.8%)では「年1回以上歯科を受診している」,「1日2回以上歯磨きをしている」,「週1回以上歯間ブラシを使用している」と回答した者が該当者に比べ有意に割合が高かった。年齢等の変数で調整した場合でも,口腔衛生行動を実施している高齢者はOFの頻度が有意に低かった{年1回以上の歯科受診(調整オッズ比0.69,95%信頼区間0.52-0.90),1日2回以上の歯磨き(調整オッズ比0.70,95%信頼区間0.51-0.97),週1回以上の歯間ブラシの使用(調整オッズ比0.73,95%信頼区間0.56-0.96)}。本研究より地域在住高齢者において年1回以上の歯科受診と共に,1日2回以上の歯磨き,週1回以上の歯間ブラシの使用による積極的なセルフケアがOFの該当と関連していることが示唆された。
(COI開示:サンスター株式会社,他1社)
(東京大学倫理審査専門委員会承認番号24-229)
口腔機能の軽微な衰えが重複した状態であるオーラルフレイル(OF)が要介護・死亡リスクを高めることが報告され,未然に防ぐ対策が求められている。昨年歯科専門職が不在でもOFの評価が可能なOral frailty Five-item Checklist(OF-5)が発表されたが,発症・重症化予防のための具体的な指導内容はまだ検討されていない。歯科専門職以外でも指導可能な「定期的な歯科受診の推奨」や「セルフケアの項目・頻度」等の口腔衛生行動の意義が明らかになれば,より広域での早期発見とオーラルケア促進による予防・対策が可能となる。本研究ではOF-5で評価したOFと口腔衛生行動との関連を横断的に検証した。
【方法】
対象は千葉県柏市在住65歳以上に対するコホート研究(柏スタディ)の参加者とし2021年度調査に参加かつ使用変数に欠損値のない者とした。OFはOF-5質問票にて評価し,2項目以上該当の場合とした。口腔衛生行動は自己記入式質問表より年間の歯科受診回数,1日の歯磨き回数,歯間ブラシの使用状況を評価し,調整変数は年齢,性別,認知機能(MMSE)とした。統計解析はSPSS ver.29(IBM社),2項ロジスティック回帰分析を主に用いた(有意水準5%未満で有意)
【結果と考察】
対象者1,411名(平均年齢75.8歳±6.22)のうちOF該当者は426名(30.2%)。非該当者985名(69.8%)では「年1回以上歯科を受診している」,「1日2回以上歯磨きをしている」,「週1回以上歯間ブラシを使用している」と回答した者が該当者に比べ有意に割合が高かった。年齢等の変数で調整した場合でも,口腔衛生行動を実施している高齢者はOFの頻度が有意に低かった{年1回以上の歯科受診(調整オッズ比0.69,95%信頼区間0.52-0.90),1日2回以上の歯磨き(調整オッズ比0.70,95%信頼区間0.51-0.97),週1回以上の歯間ブラシの使用(調整オッズ比0.73,95%信頼区間0.56-0.96)}。本研究より地域在住高齢者において年1回以上の歯科受診と共に,1日2回以上の歯磨き,週1回以上の歯間ブラシの使用による積極的なセルフケアがOFの該当と関連していることが示唆された。
(COI開示:サンスター株式会社,他1社)
(東京大学倫理審査専門委員会承認番号24-229)