講演情報

[P-113]JMS医療用ペコぱんだを用いた早期舌トレーニングが前期高齢者の最大舌圧に及ぼす影響

○竹内 真帆1、吉川 峰加1、横井 美有希2、香川 和子1、丸山 詩央1、髙橋 優太朗1、春田 梓1、吉田 光由2、津賀 一弘1 (1. 広島大学大学院医系科学研究科先端歯科補綴学、2. 藤田医科大学医学部歯科口腔外科学講座)
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【目的】
 口腔機能低下症の病態は多様で,原疾患に応じた個別対応が必要となる。機能低下状態のみならず予備能力を維持・向上する観点からも考える必要があり、健常時からの取り組みが望ましい。
 そこで本研究では,前期高齢者に対する早期舌トレーニングが最大舌圧に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】
 広島大学病院に通院可能で,本研究への協力に文書での同意を得られた自立して日常生活を送る前期高齢者を対象とした。トレーニング期間前後に口腔機能精密検査を行った。舌トレーニングには,JMS医療用ペコぱんだ(株式会社ジェイ・エム・エス,広島)を用い,舌で訓練部を押し潰す動作15回(5回×3)を1セットとし,一日3セット24週間継続して行った。期間中は4週間ごとに来院し舌圧検査を行い,適正な硬さのJMS医療用ペコぱんだへ交換しながらトレーニングを継続した。トレーニング期間前後における最大舌圧の比較をWilcoxonの符号付き順位検定を用いて行った。
【結果と考察】
 31名(男性15名69.8±2.6歳,女性16名70.2±2.9歳)の協力を得た。トレーニング開始前に7名(男性4名,女性3名)が口腔機能低下症と診断された。全員が24週間のトレーニングを完遂し,最大舌圧は男性ではトレーニング開始前36.3±11.9kPaから24週間後43.5± 12.6kPaへ,女性ではトレーニング開始前31.6±9.7 kPaから24週後38.3±10.1 kPaへと有意に増加した(p<0.05)。トレーニング開始前に口腔機能低下症と診断された7名が,トレーニング後には3名(男性2名,女性1名)に減少した。以上より,JMS医療用ペコぱんだを用いた24週間の舌トレーニングで前期高齢者の最大舌圧が増加し,口腔機能低下症の予防・改善に貢献できる可能性が示唆された。
(COI開示:なし)
(広島大学臨床研究審査委員会(特定)CRB2022-0005,jRCT1062220055)