講演情報
[P-002]炎症性M1マクロファージの移植がマウスBRONJ様病変に与える影響
○黒嶋 伸一郎1,2、小堤 涼平2、村田 比呂司3 (1. 北海道大学大学院歯学研究院 口腔機能学分野 冠橋義歯・インプラント再生補綴学教室、2. 長崎大学生命医科学域(歯学系)口腔インプラント学分野、3. 長崎大学生命医科学域(歯学系)歯科補綴学分野)
【目的】
高齢者のQoLを低下させるビスホスホネート製剤関連顎骨壊死(BRONJ)は、発現頻度が年々増加しているものの、最初の報告から20年が経過した現在でも病態形成機構は不明で、根治的治療法や予防法は存在しない。一方、我々は、マクロファージ(MΦ)がBRONJの病態形成機構に関与する可能性を基礎研究で報告してきた。本研究は、炎症性M1MΦの全身的移植が、BRONJモデルマウスの病変部硬軟組織治癒に与える影響を検索することを目的とした。
【方法】
8週齢の雌性C57/BL6Jマウスを用いた。抗癌剤(シクロフォスファミド:CY)とBP製剤(ゾレドロン酸:ZA)の併用投与(CY/ZA)に抜歯を組み合わせて、高頻度発現型BRONJ様病変モデルマウスを作製した。薬剤投与3週間後、マウス長管骨(n=10)から採取した骨髄細胞をM-CSF、LPS、IFN-ɤで処理して樹立・培養したM1MΦを抜歯と同時にBRONJモデルマウスへ移植した。対照群は生理食塩水移植とした(n=7/各群)。マウスは抜歯2週間後に屠殺し、上顎、長管骨、脾臓、血清を採取して各種定量解析を行った。
【結果と考察】
M1MΦの移植は脾臓と長管骨に影響を与えなかった。BRONJ病変部では、実験群は対照群と比較して、創部開放状態の有意な増大と三次元的骨構造解析による全骨評価パラメータの有意な低下を認め、病変部を有意に悪化させていた。また、組織形態学的・免疫病理学的所見から、実験群は対照群と比較して、空の骨小腔数の有意な低下を伴う壊死骨の有意な増大、ならびに、有意なコラーゲン産生抑制と著しい炎症性細胞浸潤が認められ、病変部硬軟組織治癒は大きく阻害されていた。さらに、病変部結合組織内のMΦ分布は、M1MΦ数の有意な増加に伴うM1/M2比の有意な増大が惹起され、病変部破骨細胞数は有意に抑制されていた。以上から、移植されたM1MΦは全身組織へ影響を与えないものの、病変部へ遊走・集積して、MΦの分布と破骨細胞に影響を与えなが
(COI 開示:なし)(長崎大学倫理委員会承認番号:2206231800-4)
高齢者のQoLを低下させるビスホスホネート製剤関連顎骨壊死(BRONJ)は、発現頻度が年々増加しているものの、最初の報告から20年が経過した現在でも病態形成機構は不明で、根治的治療法や予防法は存在しない。一方、我々は、マクロファージ(MΦ)がBRONJの病態形成機構に関与する可能性を基礎研究で報告してきた。本研究は、炎症性M1MΦの全身的移植が、BRONJモデルマウスの病変部硬軟組織治癒に与える影響を検索することを目的とした。
【方法】
8週齢の雌性C57/BL6Jマウスを用いた。抗癌剤(シクロフォスファミド:CY)とBP製剤(ゾレドロン酸:ZA)の併用投与(CY/ZA)に抜歯を組み合わせて、高頻度発現型BRONJ様病変モデルマウスを作製した。薬剤投与3週間後、マウス長管骨(n=10)から採取した骨髄細胞をM-CSF、LPS、IFN-ɤで処理して樹立・培養したM1MΦを抜歯と同時にBRONJモデルマウスへ移植した。対照群は生理食塩水移植とした(n=7/各群)。マウスは抜歯2週間後に屠殺し、上顎、長管骨、脾臓、血清を採取して各種定量解析を行った。
【結果と考察】
M1MΦの移植は脾臓と長管骨に影響を与えなかった。BRONJ病変部では、実験群は対照群と比較して、創部開放状態の有意な増大と三次元的骨構造解析による全骨評価パラメータの有意な低下を認め、病変部を有意に悪化させていた。また、組織形態学的・免疫病理学的所見から、実験群は対照群と比較して、空の骨小腔数の有意な低下を伴う壊死骨の有意な増大、ならびに、有意なコラーゲン産生抑制と著しい炎症性細胞浸潤が認められ、病変部硬軟組織治癒は大きく阻害されていた。さらに、病変部結合組織内のMΦ分布は、M1MΦ数の有意な増加に伴うM1/M2比の有意な増大が惹起され、病変部破骨細胞数は有意に抑制されていた。以上から、移植されたM1MΦは全身組織へ影響を与えないものの、病変部へ遊走・集積して、MΦの分布と破骨細胞に影響を与えなが
(COI 開示:なし)(長崎大学倫理委員会承認番号:2206231800-4)