講演情報
[P-004]ペクチン含有口腔ジェル剤による粘膜保湿能の検討
○宮城 卓弥1、朝比奈 滉直1、小川 康一2、岡田 芳幸1 (1. 広島大学病院障害者歯科、2. 株式会社フードケア)
【目的】
ペクチンは食品や化粧品,医療材料に増粘剤や保湿剤,創傷部保護剤として用いられており,近年,口腔保湿剤としての使用も検討されている。しかしながら,ペクチンハイドロゲルによる粘膜保湿能は明らかにされていない。そこで今回我々は,ペクチンを用いた新規口腔ジェルの粘膜保湿能について豚舌を用いて検討した。
【方法】
実験対象に食肉用の豚舌5個(191.6±18.0g)を準備し,これを自然乾燥させた後に水10mlを入れた紙コップと共にアクリルケース内に安置した。実験範囲として舌尖から10㎝以内の舌中央に3㎝×3㎝の四方を設定し,各豚舌の粘膜水分量を,描いた四方の四隅と中央の計5点,各部位3回測定した。その後,試料として,ペクチン含有ジェル,バトラーうるおい保湿ジェル®,マウスピュア®,生理食塩水をそれぞれ1gずつ実験範囲に満遍なく塗布・噴霧した。また,何も塗布しないものをネガティブコントロールとした。塗布後,5分経過時に粘膜水分量を再度測定し,以後180分後まで30分間隔で測定した。3回の測定値の中央値を各点の代表値とし,各豚舌の粘膜水分量を5点の代表値の平均とした。測定が1セット終了する度に豚舌を水洗し,豚舌と各試料の組み合わせを入れ替え,日を異にして全組み合わせが成立するまで計5セットの実験を同様に行った。なお,各試料の塗布・噴霧と粘膜水分量測定は別の者が行い,測定者が盲検になるよう配慮した(倫理審査対象外)。
【結果と考察】
試料塗布前の各豚舌の粘膜水分量に有意差はなかった。試料塗布直後から120分後の水分変化率は有意差を認めなかったが,180分後の水分変化率には有意差(p=0.004)を認めた.なお,群間差は認められなかった。また,混合効果モデルにより,生理食塩水と比較して3種の口腔ジェル全てが粘膜水分量に有意に影響し,保湿していることが分かった。以上から,ペクチンを使用した口腔ジェルは,既存の口腔保湿剤と同様に,生理食塩水やネガティブコントロールと比べ保湿能が高いことが示唆され,粘膜保湿剤としての同等性が認められた(開示すべきCOIなし)。
参考文献
Mucoadhesive Phenolic Pectin Hydrogels for Saliva Substitute and Oral PatchSoojeong Choi,Jihoon Jeon,Yunsu Bae,Yongsoon Hwang,Seung-woo ChoAdvanced Functional Materials/Volume 33,Issue44/2303043
ペクチンは食品や化粧品,医療材料に増粘剤や保湿剤,創傷部保護剤として用いられており,近年,口腔保湿剤としての使用も検討されている。しかしながら,ペクチンハイドロゲルによる粘膜保湿能は明らかにされていない。そこで今回我々は,ペクチンを用いた新規口腔ジェルの粘膜保湿能について豚舌を用いて検討した。
【方法】
実験対象に食肉用の豚舌5個(191.6±18.0g)を準備し,これを自然乾燥させた後に水10mlを入れた紙コップと共にアクリルケース内に安置した。実験範囲として舌尖から10㎝以内の舌中央に3㎝×3㎝の四方を設定し,各豚舌の粘膜水分量を,描いた四方の四隅と中央の計5点,各部位3回測定した。その後,試料として,ペクチン含有ジェル,バトラーうるおい保湿ジェル®,マウスピュア®,生理食塩水をそれぞれ1gずつ実験範囲に満遍なく塗布・噴霧した。また,何も塗布しないものをネガティブコントロールとした。塗布後,5分経過時に粘膜水分量を再度測定し,以後180分後まで30分間隔で測定した。3回の測定値の中央値を各点の代表値とし,各豚舌の粘膜水分量を5点の代表値の平均とした。測定が1セット終了する度に豚舌を水洗し,豚舌と各試料の組み合わせを入れ替え,日を異にして全組み合わせが成立するまで計5セットの実験を同様に行った。なお,各試料の塗布・噴霧と粘膜水分量測定は別の者が行い,測定者が盲検になるよう配慮した(倫理審査対象外)。
【結果と考察】
試料塗布前の各豚舌の粘膜水分量に有意差はなかった。試料塗布直後から120分後の水分変化率は有意差を認めなかったが,180分後の水分変化率には有意差(p=0.004)を認めた.なお,群間差は認められなかった。また,混合効果モデルにより,生理食塩水と比較して3種の口腔ジェル全てが粘膜水分量に有意に影響し,保湿していることが分かった。以上から,ペクチンを使用した口腔ジェルは,既存の口腔保湿剤と同様に,生理食塩水やネガティブコントロールと比べ保湿能が高いことが示唆され,粘膜保湿剤としての同等性が認められた(開示すべきCOIなし)。
参考文献
Mucoadhesive Phenolic Pectin Hydrogels for Saliva Substitute and Oral PatchSoojeong Choi,Jihoon Jeon,Yunsu Bae,Yongsoon Hwang,Seung-woo ChoAdvanced Functional Materials/Volume 33,Issue44/2303043